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日本は貧血の意識が低すぎる! 貧血の割合と対策方法を外国と比較

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貧血に悩む人はどれくらいいるのでしょうか?

ここでは、日本と世界の貧血の割合を比較し、各国の対策方法についてご紹介しています。日本がいかに貧血に対して問題意識が低いか、他の国と比べてみるとよく分かります。

貧血にはさまざまな種類がありますが、日本で最も多いのは、「鉄欠乏性貧血」です。

その名の示す通り、体内の鉄分が不足することで起こります。

ふだん、あまり意識することが少ないかもしれませんが、私たちの体にとって鉄分はとても重要な栄養素です。世界各国では、鉄分不足にならないように、様々な対策がとられています。

貧血の割合は世界で27%

WHO(世界保健機構)の発表によると、全世界の発表の人口のうち、約20億人が貧血とみなされています。

2017年の11月20日時点の世界人口は約74億人。実に、世界での貧血の割合は27%にもなるということです。

日本に限らず、世界的な原因も鉄分不足だと考えられています。

貧血の割合 (先進7か国)

先進国とは、発展途上の国に対して,経済・政治・文化などの面で比較的進歩している国のことです。引用:Weblio辞書

先進国の定義は曖昧で、明確ではありませんが、その中でもG7(Group of Seven)と呼ばれる先進7か国は以下の国々です。

  • フランス
  • イギリス
  • ドイツ
  • イタリア
  • カナダ
  • アメリカ
  • 日本

これら7か国の割合を「妊婦の貧血率ランキング」のデータを元にご紹介します。

アメリカ 16.6% (184位/184カ国中)
イギリス 22.8%  (176位/184カ国中)
カナダ 22.8%  (176位/184カ国中)
ドイツ 24.4%  (158位/184カ国中)
イタリア 26.1%  (128位/184カ国中)
日本 31.0%  (70位/184カ国中)

このように、先進7か国の中でも、日本の割合はとても高いことがわかります。

貧血の割合 (新興国)

新興国とは、国際社会において政治、経済、軍事などの分野において急速な発展を遂げつつある国であること。 引用:ウィキペディア

BRICs(ブリックス)は、ブラジル・ロシア・インド・中国の総称。2000年以降にめざましい発展を遂げた国々です。4ヵ国とはいえ、国土面積で32%、人工では45%にも及びます。

それでは、これら4か国の妊婦の貧血の割合を見てみましょう。

中国 21.8% (178位/184カ国中)
ロシア 23.3% (171位/184カ国中)
ブラジル 32.4% (59位/184カ国中中)
インド 53.6% (14位/184カ国中)

貧血を予防するには、鉄分と同じくらいたんぱく質も重要ですが、動物性たんぱく質の摂取にはお金がかかります。

そのため、国内の経済的格差によって都市部と農村部では状況が異なります。さらにインドでは、女性の地位の問題や、ベジタリアンが多いことで貧血の割合もとても高いのです。

また、ブラジルや中国でも国内の経済的格差が大きいため、状況が大きく異なります。

ブラジル 全土の子ども:20%
農村部:約50%
中国 西部全体:34%
西部地方都市こども:約52.5%
※西部全体(青海省・陝西省・四川省などの経済的に豊かではない41地域)
※西部地方都市は発展が遅れているとされています

「貧血大国・日本 山本佳奈著 光文社新書」より引用作成

貧血の割合 (発展途上国)

発展途上国とは、経済的先進国に対して、国民一人当たりの実質所得が低く、産業構造が一次産品に依存し、経済的発展の途上にある国々。引用:Weblio辞書

発展途上国のにおける貧血は、新興国以上に深刻です。

発展途上国 5歳以下:40%~50%
発展途上国 妊婦:50%以上
南アジア 女性:60%
子ども:53~60%

「貧血大国・日本 山本佳奈著 光文社新書」より引用作成

多くの発展途上国では、鉄強化食品を用いたり、鉄剤を配布するなどしましたが、ほとんどの国で効果が認められませんでした。

原因については明らかになっていませんが、鉄分吸収のメカニズムが単純なものではないことを表しているともされています。

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世界の貧血対策

欧米などでは、鉄分の摂取を増やすための具体的な取り組みがあります。それが「鉄強化食品」です。

アメリカでは、1941年から、パンなどを食べるときに鉄分がとれるよう、小麦粉に鉄を添加しています。カナダやスウェーデンなども同じ対策をしているそうです。

先進国の貧血対策

鉄分の強化食品を採用しているのは先進国だけではありません。フィリピンでは鉄強化米の開発を進め、貧困層には安価で供給しようとしています。

また、ベトナムではナンプラー(魚醤)に鉄添加が試みられ、貧血の改善に大きな結果が得られました。

世界の貧血対策

小麦粉
アメリカ・イギリス・カナダ・トルコ・タイ・スリランカ・中南米22ヵ国
モロッコ
フィリピン
醤油
中国
ナンプラー
ベトナム
精製糖
グアテマラ
とうもろこし粉
ベネズエラ・メキシコ
鉄タブ・シロップ
ブラジル
ナム・チャバチ
パキスタン・ネパール

日本の貧血対策

世界中の国々が、国策として貧血・鉄分不足を減らし、女性の健康を維持しようとしていますが、日本ではどうでしょうか?

残念ながら、ほぼ無策と言っても過言ではありません。

こうなると、私たち個人が、貧血・鉄分不足に対して大きな問題意識を持ち、鉄分をしっかり摂取するための正しい知識を持つしかありません。

しかし、鉄分を含む健康食品やサプリメントの使用率は、欧米の20~30%に対し、全人口の2~3%(日本鉄バイオサイエンス学会の調査)にすぎないのが現状です。

さいごに

貧血や鉄分不足の割合から見ても、貧血はとても大きな問題ですが、がんや再生医療の分野を比較すると、専門とする医師が圧倒的に少ないと言われています。

そのため日本では、貧血や鉄分不足が与える影響についてあまり認識されていません。

貧血とはどのような病気で。どんな影響を与えるのか。どのような危険が潜んでいるのか。貧血サポートラボでは、貧血や鉄分不足の原因や対処法について、少しでもお役にたてる情報を発信してまいります。

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