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血液検査のコレステロールと中性脂肪。貧血との共通点は〇〇不足!

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コレステロールや中性脂肪の値を気にしている人はどれくらいいるでしょうか?気にしてるとは言っても、肥満かどうかの指標くらいの意識ではありませんか?

「数値が高いから気をつけるように言われたけど、特に何かの症状があるわけでもないし…」

「そこまで太っても見られないし…」

などと言うように、あまり重要視していない人も多いのではないでしょうか?もしそうでしたら、考えを改めた方が良いのかもしれません。

ここでは、血液中のコレステロールや中性脂肪が高いとどうなるのかをご紹介します。また、なぜ数値が高くなってしまうのか調べた結果、貧血との以外な共通点も見つかりました。

貧血とコレステロール、いっけん関係がなさそうにも聞こえますが、共に鉄分不足が大きく関係しているようです。

これから、血液検査におけるコレステロールや中性脂肪の数値について解説していきます。貧血を疑われる際の検査結果の項目については「貧血の血液検査について解説。基準値は正常な数値ではない!」でご確認ください。

それではまず、コレステロールや中性脂肪の数値が高くなりやすい人とはどのような人なのかを見ていきましょう。

コレステロールが高い人は男性?

コレステロールを気にしている人と言えば、最近ちょっとお腹がでてきた、かっぷくの良い中年男性を想像しませんか?であれば、コレステロールや中性脂肪の数値が高い人は男性に多いと思ってしまいます。

血液検査の結果において、コレステロールや中性脂肪の数値に異常があった場合は、「脂質異常症」と診断されます。

平成26年の厚生労働省「患者調査」によると、コレステロールや中性脂肪が高い人、つまり脂質異常症の患者数は2,062,000人とのことです。

同調査結果によると、性別では男性596,000人、女性1,465,000人で、女性は男性の2.5倍も多い結果という内容でした。

貧血も脂質異常症も、女性に多いという点では同じです。また、このページの後半でご紹介していますが、太っている人だけコレステロールが高いというわけではないようです。

もっと意識した方が良いかも!?

血液検査の目的は、何かしらの病気がないか調べる事はもちろんですが、それ以外にも重要な意味があります。それは、血液検査の結果や、前回の数値との比較などによって、さまざまの病気の予防に努めるという事です。

コレステロールや中性脂肪に関して本当に気をつけるべきなのは、中年の男性より女性の方なのは明らかです。

脂質の異常は動脈硬化が起こりやすい

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健康診断などで血液検査をおこない、コレステロール値や中性脂肪の数値に異常があることが「脂質異常症」と言い、男性の2.5倍も女性に多いとご紹介しました。

脂質異常症は。「動脈硬化」を促進するから良くないと一般的に言われています。

動脈硬化とは、その名の示す通り、動脈がかたくなってしまう事です。

動脈硬化は中高年に多いは間違い!

動脈硬化は45歳以上の中高年に多いと思っていませんか?実はこれ、大きな間違いです。

このことについて、国立循環器病研究センター 循環器病情報サービスでは以下のように紹介されています。

ゼロ歳の時点ですでに主な動脈に「硬化」の初期病変がみられ、10歳前後から急に進んできます。30歳ごろになると、まさに“完成”された「動脈硬化」が現れるようになります。

引用:「国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 動脈硬化」

このように、動脈硬化は中高年のものという認識は大きな間違いです。血管がかたくなると、さまざま臓器に影響が出ます。代表的な病気は次のようなものです。

  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 閉塞性動脈硬化症

これらは、時として命に関わる重大な病気です。そうならないよう、コレステロールと中性脂肪の数値についてはしっかりと把握すべきです。

「太っているかそうでないかの指標」というくらいの認識であれば、その意識は変える必要があるとも言えます。

それでは、コレステロールや中性脂肪が一体どういうものなのか、分かりやすく、かんたんにご紹介していきたいと思います。

コレステロールとは?

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コレステロールは悪いものというイメージがあるかもしれませんが、コレステロールには、私たちの体にとってなくてはならない役割があります。

私たちのからだは、約60兆個もの細胞で作られています。この細胞を囲む薄い膜のことを細胞膜といいますが、その材料となるのがコレステロールです。

また、脂肪の消化や吸収を助ける胆汁酸という消化液の材料となったり、男性ホルモンや女性ホルモン、副腎皮質ホルモンといったさまざまのホルモンの材料となったりなどさまざまです。

コレステロールの種類

血液中のコレステロールは、リポタンパクという小さな粒子に包まれています。この粒子の違いによって、コレステロールには2つの種類があります。

リポタンパクは、以下のように大きく2つに分類されます。

  • LDL(低比重リポタンパク)
  • HDL(高比重リポタンパク)

善玉コレステロール

これらのうち、LDL(低比重リポタンパク)コレステロールが多くなると、動脈硬化が促進されることが分かっています。そのため、動脈硬化を促進させるLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれています。

善玉コレステロール

一方で、HDL(高比重リポタンパク)コレステロールには、動脈硬化を抑える働きがあることが分かっています。ですから、動脈硬化を抑える働きのあるHDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれています。

数値が低いことも問題!

コレステロールに関しては、血液検査などをして値が正常であればほとんど問題ありません。

しかし高い場合は、悪玉コレステロールが高いのか確認する必要があります。また、善玉コレステロールの数値が低い場合も注意が必要です。

中性脂肪とは?

中性脂肪はトリグリセリド(TG)とも言われています。脂質異常症の検査をするうえで、コレステロールと並んで重要なものです。

食事に含まれる脂肪は、吸収されると血液の中に中性脂肪として出てきます。そのため、食事をした後はこの数値が高くなりますから、採血の前は空腹の状態での検査が必要です。

中性脂肪も動脈硬化を促進します。

コレステロールと中性脂肪の検査

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コレステロール値や中性脂肪が高い場合を脂質異常症というと説明いたしました。以前は高脂質症とも言われていましたが、善玉コレステロールは高い方が良いので、今では脂質異常症と呼ばれることが一般的です。

脂質に関する検査では次の3つを調べます。

1.CHOL:総コレステロール
コレステロール全体です。
2.LDLコレステロール
悪玉コレステロールと言われ、動脈硬化を促進します。
3.HDLコレステロール
善玉コレステロールと言われ、動脈硬化を防ぐ働きをします。
4.TG:中性脂肪
トリグリセライドとも呼ばれ動脈硬化を促進します。

これらの4項目が脂質異常症かどうかの判断に使われます。

悪玉コレステロールや中性脂肪は、数値が高いといけませんし、善玉コレステロールは数値が低いと良くありません。そのため、異常のある脂質の種類によって分類されます。

  • 悪玉コレステロールが多い場合=高LDLコレステロール血症
  • 善玉コレステロールが少ない場合=低HDLコレステロール血症
  • 中性脂肪が多い場合=高トリグリセライド血症

コレステロールと中性脂肪の基準値

検査項目 基準値
総コレステロール 130~219
LDL(悪玉)コレステロール 70~139
HDL(善玉)コレステロール 男性:40~80
女性:40~90
中性脂肪(TG) 30~149

※単位は mg/dl
※参考書籍:『貧血と血液の病気』

脂質異常症の怖いところ

ほとんどの場合、脂質異常症には症状がありません。そのため、健康診断などで「脂質異常なので注意してくださいね!」と言われても、そのまま放置してしまいがちです。

これが脂質異常症のもっとも怖いところです。放置した結果、気づかないうちに動脈硬化が進んでしまい、あるとき突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などが起き、ときには命も左右されかねません。

コレステロールが高くなる原因

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コレステロールや中性脂肪が高くなる原因は大きく分けると以下の3つです。

1.生活習慣の乱れ
食べすぎ・運動不足・喫煙・お酒の飲みすぎ・ストレスなど
2.遺伝
家族性高コレステロール血症と呼ばれる。悪玉コレステロール値がとても高い。家族の病気の履歴に要注意
3.他の病気や薬の影響
糖尿病や腎臓病、甲状腺機能低下症など。また、避妊薬やステロイドホルモンなどのお薬

食べ物に関しては、肉や卵などの動物性脂肪、清涼飲料水、お酒、甘いお菓子などの食べ過ぎがコレステロールや中性脂肪を高くしますが、太っている人だけがそうなるとは限りません。ストレスも大きな原因となります。

本来、痩せている人の割合が多い女性の方が2.5倍も脂質異常症の人が多いということからも、食事だけが原因ではないということが分かります。

脂質異常の予防と対策

魚の油や野菜などの食物繊維、さらに大豆製品は、脂肪を減らしたり、動脈硬化を抑制するように働きます。

また、太り気味の場合は減量がとても大切です。太り気味の場合は脂質異常症だけでなく、高血圧や糖尿病など、動脈硬化の進行を早くするものも招きやすくなります。減量の効果はコレステロールや中性脂肪に改善だけでなく、全身的に良い影響を与えるので、とても効率の良い予防や改善方法だと言えます。

そして、食事と合わせて重要になってくるのが運動です。からだを動かすことは減量やリフレッシュの効果だけでなく、HDL(善玉)-コレステロールを増やす効果もあります。

脂質を効率よく燃やすためには鉄分が必須

脂質がエネルギーへと変わる過程において、とても重要になってくるのが、鉄分やマグネシウムといったミネラルや、ビタミンB群などです。

▼エネルギー代謝の仕組みと鉄分の重要性

これらが不足した状態では、効率よくエネルギーを生み出すことができず、血液中にコレステロールが溜まる原因となってしまいます。

とくに鉄分は女性のほとんどで不足状態にあります。脂質異常症の患者数は、女性は男性の2.5倍も多いというのも、鉄分不足が関係しているのかもしれません。

積極的な鉄分補給は、貧血の対策以外でも重要です。

▼女性の鉄分不足の状況

▼効果的な鉄分の補給方法

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血液検査で分かるコレステロール~まとめ~

体の中で何が起こっているのか、体は正常に動いているのか、どこかに異常を生じているところはないかなどを知ることができれば、健康を維持する上でとても役に立ちます。

そのための検査の中で、比較的にかんたんに行うことができるのが血液検査です。

血液検査をすればなんでも分かるわけではありませんが、採血というかんたんな方法によって多くの情報をえることができるので、病気の診断や早期発見においてとても役に立っています。

ここでは、血液検査のコレステロールと中性脂肪についてご紹介いたしました。

これらの数値が高い人は、中高年の男性に多いというイメージは間違いです。

  • 男性の2.5倍女性の方が多い
  • 動脈硬化は10歳から急に進み、30歳ごろに完成されたものが現れる

これらの事から、気をつけるべきなのはむしろ、若い女性とも言えます。貧血とコレステロール、全く関係のないもののようにも聞こえますが、鉄分が不足していると、脂質からエネルギーが生まれにくいという事も考えられます。

健康診断などの血液検査の結果から、コレステロールや中性脂肪の数値に対しての意識を高くもち、できればフェリチン値も把握して、鉄分不足との因果関係を考慮することが、これから起こるかもしれない大きな病気の予防につながるのかもしれません。

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