血液とはいったい何でしょうか?その役割を知ることは、貧血をより理解することにつながります。この記事では、基本的な血液の役割についてご紹介しています。
私たちの体には、隅々まで赤い血が流れています。そのため、ケガをしたときなど、傷ついたら赤い血が出ます。
血液は血管と呼ばれる管の中を流れていますが、太い血管から細い血管へ枝分かれし、そこからさらに細い血管へ分かれていきます。そして最後のほうでは、毛細血管という糸よりも細い血管になって、体の隅々に血液を送り届けています。
血液とは、血管の中を流れている赤い液状のもので、体重の約8%を占めます。例えば、体重が60kgの場合では、約5リットルとなります。一般的に血液の約半分を失えば死に至ると言われています。
血液の流れ
その血液を、体の隅々まで循環させるためにポンプの役割をしているのが心臓です。心臓は収縮と拡張を一定のリズムで繰り返すことで血液を送り出しています。
そのリズムは、脈拍として手首に指をあてることで数えることができます。
引用:「(財)北海道心臓協会」
心臓の働き
心臓は、胸の中央部分の胸骨の内側にあり、心房と心室というものから成り立っています。
小学校の理科の授業などでも習ったように、心房は右心房と左心房、心室は右心室と左心室とに分け得られています。
- 心臓は、まず左心室がギュッと収縮することで、大動脈という太い血管を通って全身に送り出されます。動脈から細い血管に分かれ、最終的に毛細血管へと流れた後に、静脈へと移行します。
- 静脈へと移行した血液は、上大静脈と下大静脈という2つの静脈を通って右心房へと戻ってきます。右心房に戻ってきた次は右心室へと入り、右心室から肺動脈を通って肺へと送り出されます。
- 肺では二酸化探査を放出して再び酸素を取り込みます。肺を循環することで二酸化炭素を放出し酸素と結合した血液は肺静脈を通り、左心房へと戻ってきます。
- 左心房へともどってきた次は左心室へと入り、再び大動脈へと送り出されます。
心臓は規則正しく動いています。心臓の動きは、心臓の収縮によるもので、その収縮の度に血液を動脈へと送っています。
血液の役割とは?
私たちの体は、脳、心臓、腎臓、肝臓、筋肉、神経・・・など、数えたらキリのない位たくさんの組織からできています。その組織の中で、血液には唯一の特徴があります。
それは、常に流れ動いているということです。
心臓によって送り出された血液は常に体の中を循環していますが、それは血液の役割において重要な意味があります。
血液は体の隅々まで循環し、さまざまな組織に必要な酸素や栄養素、ホルモンなどを届ける配達業務を行っています。さらに代謝によって発生した老廃物を体外へ捨てる回収業務も行っています。
つまり、私たちの体が正常に機能しているのは、血液が常に運搬と回収を繰り返しているからなのです。
また、出血の際に血がなくなりにくいように血液を固めたり、細菌やウイルスから体を守るといった役割もあります。
血液の成分
健康診断などでの血液検査の際に、注射器で血液をとることを採血と言います。ケガをして出血すると血液は固まるのと同じように、採血した血液を試験管の中に入れておくと固まってしまいます。
そうならないよう、抗凝固材という薬品を加え、試験管の中に立てておくと、黄色い層と赤い層に分かれます。そしてその中間に灰色をした薄い層もできます。
赤い層は赤血球が集まったものです。そして灰色の薄い層には、白血球と血小板が集まています。黄色い層は血漿(けっしょう)と呼ばれる部分です。
このように、血液は血漿(けっしょう)という液体と、血球(血液細胞)という細胞からできていて、血球は、赤血球、白血球、血小板の3種類があります。血液が赤い色をしている理由は、その赤血球という赤い色をした血球(血液細胞)が多いからです。
それぞれの役割について詳しくご紹介します。
赤血球の役割
赤血球は中央がくぼんだ円盤のような形をした赤い色をした細胞です。この特殊な形は、広い表面積をつくることで、酸素や二酸化炭素の返還をしやすくしています。
また、赤血球よりもちいさなもうさい血管でも、自由に変形して通れるようになります。
赤血球の数は血液細胞の中で最も多く、白血球の1,000倍以上です。それにより、私たちの血液は赤色をしています。
赤血球が赤いのは、赤血球の中にあるヘモグロビンが赤色をしているからです。ヘモグロビンはヘムという色素とグロビンというタンパク質からできています。このヘムの中央には鉄の分子が存在していて、酸素はそこに結合します。
赤血球とはヘモグロビンを包む円盤状の袋のようなものと例えられています。ですから、厳密に言うと赤血球の中のヘモグロビンが酸素を運んでくれているというわけです。
血液の色
酸素がたくさん結合している血液が動脈の血液です。この動脈血は酸素がたくさん含まれるため鮮やかな赤色をしています。それが体中に流れていき酸素が消費され静脈血へとなります。
静脈血では酸素が消費されているため、どす黒い赤色をしています。そして、静脈血は肺を流れるときに酸素と結合して、動脈血となりまた鮮やかな赤色となります。
白血球の役割
白血球は球状で中に核があります。単球・リンパ球・顆粒球とがあり、その中の顆粒球とは、好中球・好酸球・好塩基球の3つをまとめて呼んだものです。数で最も大きな割合を占めるのが好中球です。
白血球は体内に細菌などの異物が入ってきたときに戦ってくれるいわば兵隊です。
白血球は異物を察知すると血流に乗って近くまで移動します。そして血管から細胞へと移動し、細菌などの異物を食べるように包み込みます。
白血球の中でも、このチカラが一番強いのは好中球です。そしてある一定の細菌を処理すると好中球は死んでしまい、その好中球と細菌の集団が膿となります。
血小板の役割
血小板はとても小さく、パンをちぎったような形をしていて、血液が固まる際に重要な働きをしています。
血管が破れると、そこから血液が流れでます。その際に破れてむきだしになった皮下組織にこの血小板がくっつきます。やがてそれが塊となり、「血小板凝集塊」というものをつくります。
その塊に、ほかの血液成分も一緒になり血管に破れ目を機械的にふさぎ止血してくれます。これを一時止血と言います。さらにここから、血小板とほかの血液細胞の間をフィプリンというものが埋めて補強されます。これを二次止血と言います。
二次止血が終わると、血管内の細胞が血管の破れ目を内側から覆っていき血管を修復します。
血漿(けっしょう)の役割
血漿(けっしょう)黄色の液体です。この中にはさまざまなものが含まれています。食事で取り入れたタンパク質・脂質・糖質といった栄養素や、体内でつくられたホルモンやナトリウム・カリウム・カルシウムなどのミネラルです。また、免疫と関係している各種抗体も含まれています。
どれも必要不可欠なもので、これらが各組織にはこばれることで私たちの体は正常に維持されていますす。
血液の役割~まとめ~
私たちの体を流れる血液は、
- 血漿(けっしょう)という液体
- 血球(血液細胞)という細胞
・赤血球
・白血球
・血小板
からできていて、おもに以下のような役割があります。
- 必要な酸素や栄養素、ホルモンなどを届ける配達業務
- 代謝によって発生した老廃物を体外へ捨てる回収業務
- 出血の際に血液を固める
- 細菌やウイルスから体を守る
ここでは、貧血とは何なのかという事を理解するために大切な血液の役割についてご紹介いたしました。貧血をより理解するための情報としてお役に立てれば幸いです。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう