「貧血の予防や改善にはヘム鉄が豊富な肉類を食べるべき!!」
そう思っている方は考えを改めるべきです。
果物に含まれる鉄分は、これまで吸収率が悪いと言われてきた「非ヘム鉄」。
しかし鉄分不足時には、非ヘム鉄の吸収率がヘム鉄を大幅に上回ります。
同時に、果物には非ヘム鉄の吸収を助けるビタミンCや果実酸がたっぷり。
ですから、果物で鉄分を摂取するという事は貧血の解消や予防にとても効果的なんです。
さらに果物には食物繊維もたくさん含まれるので、妊娠中に起こりやすい便秘の解消にも役立つかもしれません。
そればかりか、果物によるさまざまな病気リスクの低下が明らかになってきた今、鉄分不足による貧血の予防や改善に果物を積極的に摂り入れていくことをお勧めします。
鉄分の吸収率は変化します
鉄分不足の解消にはヘム鉄と言われてきたのは、鉄分吸収のしくみが詳しく分かっていなかった昔の情報が元になったものです。
鉄分の吸収について徐々に明らかになってきたことで、「鉄分不足の解消には非ヘム鉄!」ということが常識になってきました。
それは、体内の状態によって鉄分の吸収は変化し、鉄欠乏時に鉄分の吸収率が大幅に上がるからです。
▼最新の鉄分の吸収に関する情報
吸収を助けるビタミンCと果実酸
非ヘム鉄は、「ビタミンC」や「果実酸」と一緒に摂ることでも吸収がUPします。
果物には、鉄分と同時にビタミンCや果実酸も含まれているものが多いため、果物での鉄分補給はとても効率的なのです。
- ビタミンC
- ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形に変えてくれます。鉄は主に十二指腸から吸収されますが、3価鉄という状態ではほとんど吸収されません。それを吸収しやすい2価鉄へと還元する作用がビタミンCになあるのです。
- 果実酸
- クエン酸やリンゴ酸に代表される果実酸は、キレート作用と言う、ミネラルを吸収しやすい状態へと包み込んでくれる働きがあります。
どんな果物がおすすめ??
それでは具体的にどんな果物が良いのでしょうか?
鉄分不足による貧血を改善するために効果的な果物とは、「鉄分」だけではなく、「ビタミンC」と「果実酸」を同時に多く含むものだと言えます。
以下の記事では、その3つの項目を網羅した果物をランキング形式でご紹介していますので、ぜひ参考になさってください。
果物は病気のリスクを軽減させる
2015年1月「European Journal of Clinical Nutrition」に発表されたNIPPON DATA研究のデータ解析の結果によると、野菜や果物の摂取量が多いほど、脳卒中や心臓病などの循環器疾患による死亡リスクが低下することが明らかになっています。また、2007年に発表された世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究財団(AICR)の報告書によると、果物を摂取することによって、肺がん、胃がん、食道がん、口腔、咽頭、喉頭がんの発がんリスクの低下がほぼ確定的であると判定されています。引用:「貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策」山本佳奈著 光文社新書
このように、果物を積極的に食べるメリットは鉄分補給に限りません。
食事は、さまざまな食べ合わせによって効果を得られる場合が多いですが、果物はたった1つでたくさんの効果を得られることも、積極的に摂りたい理由の1つです。
果物を摂れていない日本人
「FAOSTAT」という、国際連合農業機構の2011年統計によると、1日1人当たりの果物摂取量は、
- オランダ→444g
- オーストラリア→400g
- イタリア→386g
- アメリカ→266g
だったそうです。
私たち日本人は、どれくらいの量の果物を摂取しているのでしょうか。
その答えは、厚生労働省の国民栄養調査によってわかります。
はじめて100gを下回った
最新の「平成28年国民健康・栄養調査の結果」によると、日本人男女を合わせたの果物の摂取量は、初めて100gを下回りました。
また、平成22年度の調査では、20~40歳代のおよそ8割が、果物摂取量が1日あたり100g未満で、半数以上は摂取量が0g/日という事も明らかになっています。
ちなみに果物100gとは、みかん1個分、リンゴであれば半分程度の量です。
どうすればたくさんの果物を摂取できる?
果物の摂取量が多い国と日本の違いは、果物を摂り入れる習慣にあります。
毎日の食事で食べるだけでなく、ジュースやジャム、ドライフルーツや缶詰といった食品としても食べる習慣が根付いています。
これらの方法は、つわりのひどい妊婦や、食事制限をしている人など、毎日の食事の少しだけ追加してみるだけでも比較的に摂りやすいと思います。
パンにはフルーツジャム。間食にドライフルーツ。手軽にフルーツジュースなど、毎日の食事に少しだけ工夫をしてみてはいかがでしょうか?
鉄分不足に果物を食べるべき理由 ~まとめ~
貧血の予防や改善に果物を取り入れるべき理由は、
- 鉄分不足では非ヘム鉄の吸収率がヘム鉄を大幅に上回ること
- 果物には非ヘム鉄の吸収を助けるビタミンCや果実酸が豊富に含まれていること
- 便秘解消に来た宇井できる食物繊維もたくさん含まれていること
- 果物を食べる事によるさまざまな病気のリスクの低下
これだけの理由があります。
日本人の果物摂取量は減少傾向にあり、平成28年はじめて1日100gを下回りました。
その量は、他の国々と比較してみても、たいへん少ないことが分かります。
貧血の予防や改善はもちろん、その他の病気を予防するためにも、習慣的に果物を摂り入れていきましょう☆
参考文献
- 「貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策」 山本佳奈著 光文社新書
- IRON ABSORPTION. IV. THE ABSORPTION OF HEMOGLOBIN IRON
- 「果物摂取の現状と食習慣の改善に向けた課題の整理」千葉県立保健医療大学 林芙美
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