脂質、炭水化物を含めた3大栄養素の1つであるたんぱく質。人間が生きていくうえでとても大切な栄養素とされています。たんぱく質は、おもに20種類のアミノ酸から成り立っています。これらアミノ酸やタンパク質などが、カラダの筋肉や血液などを作っています。
貧血の予防にたんぱく質が必要なワケ
貧血を改善するために必要な栄養素の代表といえば「鉄分」だと思います。しかし、鉄分を積極的にとっていても、なかなか貧血が改善されない場合もあるかと思います。
貧血とは、全身に酸素を運ぶ、血液中のヘモグロビンが少ない状態のことをいいます。
ヘモグロビンは、ヘムという、鉄を含む色素と、グロビンというたんぱく質からできています。
ヘモグロビンとは、ヒトを含む全ての脊椎動物や一部のその他の動物の血液中に見られる赤血球の中に存在するタンパク質である。酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。赤色素であるヘムを持っているため赤色を帯びている。
引用:「ウィキペディア」
鉄はヘモグロビンの材料。不足するとヘモグロビンをつくることができません。これは、タンパク質も同じことがいえます。鉄分は吸収率が悪いため、不足しやすいことから、貧血を改善するために必要な栄養素=鉄分という認識が強いのかもしれません。
しかし、鉄分と同じくらい、たんぱく質も貧血を改善するために大切な栄養素。タンパク質と鉄がセットでないとヘモグロビンは作れません。
たんぱく質の推奨量(g/日)
年齢(歳) | 男性 | 女性 |
1~2 | 20 | 20 |
3~5 | 25 | 25 |
6~7 | 35 | 30 |
8~9 | 40 | 40 |
10~11 | 50 | 50 |
12~14 | 60 | 55 |
15~17 | 65 | 55 |
18~29 | 60 | 50 |
30~49 | 60 | 50 |
50~69 | 60 | 50 |
70以上 | 60 | 50 |
妊娠初期 | – | +0 |
妊娠中期 | – | +10 |
妊娠後期 | – | +25 |
授乳期 | – | +20 |
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より
効率の良いたんぱく質のとり方3つ
たんぱく質には、牛・豚・鶏などの肉類や魚介類、卵や牛乳などといった動物性の食品に含まれているものと、大豆などに含まれている植物性のものとがあります。
これらの食品は毎日だいたい食べているものですが、貧血を予防するためには次のようにすれば、より効率よくたんぱく質がとれます。
その①食品を組み合わせる
肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆製品など、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を含む食べ物を組み合わせれば、食事のバリエーションも豊富になってきます。
それだけでなく、たんぱく質を含む食べ物は、それぞれアミノ酸の組成が違います。鶏肉が好きだからと、毎日おなじ鶏肉の料理ばかりでなく、他のたんぱく質も組み合わせる方が、それぞれの欠点を補いあって効果的です。
その②毎日の食事から
たんぱく質は、鉄分と同じように毎日とらなければいけません。
▼鉄分にかんする記事です。
1日に必要な量を食事でとることが大切です。例えば、昨日はボリュームのあるステーキを食べたから、しばらくたんぱく質はとらなくていいというわけにはいきません。
その③適度な糖質や脂肪
ダイエット中の人はカロリーを気にして、大切なエネルギー源である糖質や脂肪をカットする傾向があるとおもいます。しかし、糖質や脂肪が足りないと、かわりに大切なたんぱく質がエネルギー源として使われてしまって、血液をつくるほうへ十分回されなくなってしまいます。貧血を予防するためには、適量の糖質や脂肪も大切なのです。
たんぱく質を多く含む食べ物
ご紹介したように、たんぱく質は、動物性と植物性に分かれます。
動物性たんぱく質 |
肉類、魚介類、卵、牛乳、乳製品(チーズ・ヨーグルトなど) |
植物性たんぱく質 |
大豆、大豆製品(とうふ、納豆、高野豆腐、きな粉など) |
たんぱく質に限らず、全ての栄養素に言えることですが、1回の食事で50gのたんぱく質をとっても、同じ量のタンパク質が吸収されている訳ではありません。
たんぱく質を1回の食事で50g摂取したからと言ってカラダに50gタンパク質が吸収されている訳ではありません。これはタンパク質に限らず全ての栄養素にも言えます。食べものによっても違いがありますが、たんぱく質の吸収率は約70%とも言われています。
各食品ごとのたんぱく質の量
日本食品標準成分表2015年版(七訂)の情報をもとに、各食品ごとのたんぱく質の量をご紹介します。
たんぱく質を多く含む肉類
食品名 | 成分量 (g/100g) |
ぶた/ゼラチン | 87.6 |
うし/ビーフジャーキー | 54.8 |
ぶた/ひれ、赤肉 | 39.3 |
とり/むね、皮なし | 38.8 |
とり/むね、皮つき | 34.7 |
たんぱく質を多く含む魚介類
食品名 | 成分量 (g/100g) |
ふかひれ | 83.9 |
とびうお/煮干し | 80.0 |
かつお節 | 77.1 |
たたみいわし | 75.1 |
黒マグロ/赤身、生 | 26.4 |
たんぱく質を多く含む卵類
食品名 | 成分量 (g/100g) |
乾燥卵白 | 86.5 |
乾燥全卵 | 49.1 |
乾燥卵黄 | 30.3 |
卵黄/生 | 16.5 |
全卵/生 | 12.3 |
たんぱく質を多く含む乳製品
食品名 | 成分量 (g/100g) |
パルメザンチーズ | 44.0 |
脱脂粉乳 | 34.0 |
プロセスチーズ | 22.7 |
モッツァレラチーズ | 18.4 |
クリームチーズ | 8.2 |
たんぱく質を多く含む豆類
食品名 | 成分量 (g/100g) |
きな粉 | 36.7 |
ろくじょう豆腐 | 34.7 |
そらまめ | 26.0 |
油揚げ/生 | 23.4 |
グリーンピース | 20.8 |
たんぱく質を多く含む野菜類
食品名 | 成分量 (g/100g) |
干しわらび | 20.0 |
とうがらし/乾 | 14.7 |
ドライトマト | 14.2 |
えだまめ/生 | 11.7 |
切干大根 | 9.7 |
まとめ
たんぱく質は、動物性と植物性でアミノ酸の組成が違いますので、バランスよく食べることが大切です。
1回の食事につき約30gのタンパク質が、他の栄養素と一緒にとるうえで最適と言われています。また消化器官への負担も優しいとされています。
タンパク質は脂質じゃないからといって、一度の食事で食べすぎてしまうと体脂肪に変わってしまうので、とり過ぎにも注意が必要です
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