たくさん寝たのに、眠い。
こんな症状が見られたら貧血(鉄分不足)を疑ってみてください。
貧血というと、立ちくらみやめまい、顔色が悪いなどが思いつくかと思います。
しかし、眠気も貧血(鉄分不足)の症状のひとつなのです。
なぜ眠くなる??
眠くなってしまう原因は、生活習慣やストレスなどさまざまです。
代表的な原因の1つに、糖質の摂りすぎがあります。
糖質をとりすぎると、血糖値が急に上がり、大量のインスリンを分泌し、この血糖値を下げます。
この状態では、臓器への負担が大きくなり、眠くなったりだるさを感じたりします。
また、満腹まで食事をとることも眠くなる理由の1つ。
体は食べたものを消化するために、血液を胃腸に集中させることで、脳の血流量が減る傾向にあるといわれています。
すると脳は活発に動けなくなり、ぼんやりしたり、眠くなってしまうというわけです。
しかし眠気の原因はこれだけではありません。
「酸素不足」と「鉄分不足」も眠気の原因
貧血によって眠気が起こることをご存知でしたか?
貧血とは、血液中のヘモグロビンが少ない状態。
ヘモグロビンには酸素を運搬するという役割がありますから、貧血では、体中で酸素不足が起こってしまいます。
また、貧血の原因の大半を占めるのは、ヘモグロビンの材料である鉄分が不足すること。
つまり、貧血の多くは酸素不足と鉄分不足両方の症状があらわれてしまうことになります。
貧血はなくても、日本人女性の9割は鉄分不足だと言います。
「貧血ではないから大丈夫。」と安心された方も、鉄分不足を疑ってみてください。
酸素不足による眠気
繰り返しますが、ヘモグロビンは、酸素を体の隅々までいきわたらせる働きをしています。
貧血になると、このヘモグロビンの役割である酸素運搬能力が低下してしまいます。
そのため、脳へ送る酸素の量が少なくなってしまい、眠気に襲われてしまうのです。
あくびがとまらなくなったり、我慢ができないほどの眠気は、貧血による酸素不足が招いている可能性があります。
低血圧による眠気
血圧が低い場合も、全身に血液が十分に行き届かず体が酸素不足になるため、貧血と似たような症状が現れます。
急に立ち上がるときの頭痛やめまいなども、一時的な低血圧が原因。
貧血と低血圧。原因は全く異なりますが、症状は酸素不足が招くというところでは共通しています。
この酸素不足によって、脳に必要な酸素が供給されず、脳の活動は低下してしまいます。
その結果、眠気が引き起こされてしまうのです。
鉄分不足による眠気
鉄分不足は、私たちの精神(こころ)に大きな影響をあたえます。
それは、鉄分不足によって、神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)の生産が減少するからです。
神経伝達物質は、精神面や感情、学習能力や運動機能、睡眠などといった、私たちの体にとって大切な機能に影響を与えています。
神経伝達物質の役割
私たちの心のバランスを保ってくれている代表的な神経伝達物質の役割は次の3つです。
- 心を安定させる(セロトニン)
- やる気をおこす(ノルアドレナリン)
- 快楽をつくる(ドーパミン)
これらは、互いにバランスを取り合うことで、私たちの心身のバランスを整えてくれています。
これらの神経伝達物質のバランスがくずれてしまうことで、眠気以外にも、イライラする、やる気がでない、感情が不安定になるなどの症状が出てしまいます。
なぜ鉄分不足では神経伝達物質が作られない?
鉄分は、神経伝達物質をつくる際に必要な酵素と結合して、その機能を助ける働きをしています。
鉄分が不足すると、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンが必要なときにつくられないことから、眠気以外にも、睡眠の質が下がる事も考えられます。
睡眠の質が下がるという事は、成長ホルモンが分泌されにくくなってしまいます。
成長ホルモンが不足した場合のおもな影響
- 疲れが取れにくい
- 風邪をひきやすい
- 肌のシミやシワができやすい
- ふとりやすい(脂肪が分解されにくくなる)
- ヤル気が起きない
- 物事への関心が出ない
女性はほとんどが鉄分不足
病院で貧血と診断されたことは一度もない。
そんな人にとって鉄分不足は、あまり意識をしていないことかもしれません。
しかし、国民健康・栄養調査によると、日本人女性のほとんどが鉄分不足だというデータがあります。
そうなると、もはや鉄分不足は他人ごとではありません。
貧血と診断されていなくても、そうなる可能性が高い「貧血予備軍(かくれ貧血)」かもしれません。
さいごに
貧血(鉄分不足)が女性に多い理由は、月経による定期的な出血が考えられます。
しかし、その根本にあるのは食事によって十分な鉄分が補給できていないこと。
鉄分を積極的のとるという事は、貧血予防だけでなく、これまであきらめていた、眠気や精神的な症状の改善にもつながるかもしれません。
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