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貧血の血液検査にある基準値とは正常な数値の事ではありません!

貧血の有無を調べるときは、血液中のヘモグロビンを含む赤血球を中心に調べます。このページでは、検査結果それぞれの項目が示す意味と、基準値について解説いたします。

貧血を疑われたときや、定期的な健康診断でおこなう血液検査。いくつかの項目があり、それぞれに「基準値」が定められています。

項目の意味や、数値が指し示す具体的な事は分からなくても、自分の数値と基準値を比較する事で、直感的に正常かどうかという想像ができますよね!

ここでは、一般的な血液検査で調べる11の項目の意味や、基準値ついて分かりやすく解説します。それではまず、基準値とは何なのか?という事から見ていきましょう。

血液検査の基準値は正常の数値とは違う

一般的な血液検査では、血液の中の赤血球・白血球などの数や、ヘモグロビンの濃度や大きさなど、さまざまの項目を調べます。

その結果からでた数値は、健康な人ではある一定の範囲内でとどまっています。その範囲内の数値を「基準値」とよびます。この数値は、検査結果の用紙にも記載されているため、自分でも確認できます。

基準値は、健康な人の95%が示す範囲によって定められています。ですから、基準値の範囲内であっても、必ず健康だと言い切ることはできません。逆に基準値外であっても、必ず病気と言い切ることもできません。

そのため、昔は「正常値」とも言われておりましたが、現在では「基準値」に統一されてきています。

また、基準値は、医療機関によって調べる方法などがちがうため、基準値にばらつきがあったり、単位が異なったりすることがあります。いくつかの病院で調べた結果を比較するときなどは注意が必要です。

血液検査の結果は病気を見つける糸口

実際に測定した数値を基準値と比べることで病気を疑います。

しかし、血液検査はあくまでも健康の目安であり、病気を見つける糸口であるという事を認識しなければいけません。

最終的に病気かどうかは、精密検査と専門医による総合的な判断が必要です。

ただ、健康な人の95%が示す数値は、信ぴょう性は高いので、基準値以内であれば、健康な可能性は非常に高いものにはなります。

血液検査の参考基準値

検査項目 基準範囲 単位
ヘモグロビン濃度(HB) 男性:13.5~16.9 女性11.4~15.0 g/dl
赤血球数(RBC) 男性:401~540 女性374~497 ×1万/μl
ヘマトクリット値(Ht) 男性:39.0~51.2 女性35.5~45.5
平均赤血球容積(MCV) 86.3~102.6 fl
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) 27.7~33.8 pg
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) 86.3~102.6
網赤血球 0.7~2.2
網赤血球数 3.0~9.0 ×1万/μl
白血球数(WBC) 3.1~9.5 ×1千/μl
血小板数(PLT) 15.1~34.9 ×1万/μl

※NTT関東病院の基準値を示す

引用:「貧血と血液の病気」浦部晶夫著 インターメディカ

貧血検査の各項目の意味

ヘモグロビン濃度(Hb)

貧血の有無を調べるための項目です。貧血かどうかを判断する最も大きな目安です。1dl中に含まれるヘモグロビンの重量(g数)でヘモグロビン濃度を表します。この数値が低い場合、鉄欠乏性貧血などが疑われます。

▼ヘモグロビン濃度(Hb)は、貧血を疑う際の最大の指標となります。

赤血球数(RBC)

貧血の有無を調べるための項目です。血液中の赤血球の数です。この数値が基準値より高ければ多血症、低ければ貧血が疑われます。

ヘマトクリット値(Ht)

貧血の有無を調べるための項目です。一定量の血液の中に含まれている血球成分(99%は赤血球)の割合です。赤血球の数と同じく、数値が基準値より高ければ多血症、低ければ貧血が疑われます。また、脱水によりこの数値が高くなってしまうこともあります。

平均赤血球容積(MCV)

貧血の種類を調べるための項目で、赤血球の大きさを示す数値です。この数値が高いと、ビタミンB12欠乏性や葉酸欠乏性の貧血などが疑われます。低い場合は、鉄欠乏性貧血や、なんらかの炎症にともなった貧血が疑われます。

平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)

貧血の種類を調べるための項目で、赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量を表す数値です。貧血や多血症を診断するための基本的な項目です。数値が高いと多血症、低い場合は貧血が疑われます。

平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)

貧血の種類を調べるための項目です。赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの濃度を表す数値です。(ヘモグロビンの量÷ヘマトクリット)

網赤血球・網赤血球数

成熟した赤血球の1つ手前の若い赤血球の割合と数の数値です。赤血球の量が少なくなった場合、正常に血液がつくられていれば、網赤血球は増加します。しかし、貧血でかつ、網赤血球の数値が低い場合には、再生不良性貧血が疑われます。

白血球数(WBC)

おもに感染症の有無を調べるための項目です。1μl(1リットルの1/1,000,000)に含まれる白血球の数です。基準値よりも高い場合、白血病や細菌による感染症が疑われます。基準値より少ない場合は、ウイルスによる感染症や慢性肝炎などを疑われます。

血小板数(PLT)

1μl(1リットルの1/1,000,000)に含まれる血小板の数です。この数値が高い時は、貧血や多血症などを疑い、逆に低い場合は、白血病や肝硬変などの病気が疑われます。

貧血と診断されるまでの流れ

ご紹介してきたような血液検査の項目において、ある一つの数値が基準値よりも低いことで、貧血と診断されることはありません。

ヘモグロビンの数値が低いという事は一つの結果であって、なぜ低くなっているのかという原因を、多くの項目の数値を複合的に判断することで診断していきます。

貧血の中でも、最も多く割合を占めるのは鉄欠乏性貧血。そう診断される流れとガイドラインについて詳しくは以下の記事でご紹介していますので、ぜひ、ご確認ください。

まとめ

血液検査においての基準値とは、病気を疑う目安であり、病気を見つけるための糸口となるものです。

ということではなく、正常値から少し外れているくらいなら、個人差として考えてもよいケースもあります。

大切な事は、一度きりの検査結果だけではなく、前回や前々回などからの数値の変化です。それによって、普段から気をつけておくべき事や、改善が必要なことなどが見えてきます。

血液の状態は、自分の健康状態を知るための、とても大きな指標です。

ですから、血液検査の項目を知るということは、自分の健康状態を知るという事につながりますので、ぜひ。上記内容をあなたの健康維持にお役立てください。

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