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貧血で酸欠(酸素不足)が引きおこす共通した3つの症状

貧血は、その原因によっていくつかの種類に分かれますが、すべての貧血に、酸欠(酸素不足)が招く、共通した症状があります。

具体的にどのような症状が起こるのか、ここでは、酸欠(酸素不足)に関係する症状を中心にご紹介します。

それではまず最初に、貧血とはどのような状態のことをいうのか見ていきましょう。

貧血とは?

フラ~っと立ちくらみやめまいなど起きたとき、「貧血でたおれそうになった」などと使う機会が多いかと思います。

少し専門的な言葉を交えると、貧血とは次のような状態のことをいいます。

貧血とは体内の抹消組織に十分な酸素を運ぶだけの赤血球の量が維持できていない状態

引用:「貧血大国・日本」山本佳奈著 光文社新書

赤血球には、肺で酸素を受け取り、全身へと運ぶ役割があります。その、酸素を運ぶ中心的な役割を担うのがヘモグロビンです。

貧血とは、「血液が薄い状態」とも言い換えることができます。

貧血の種類と症状

繰り返しますが、貧血は、その原因によって種類があります。

大きく分けると、血液が薄い状態と、一時的な低血圧によって起こるものがあり、後者は「脳貧血」といい、血液そのものに原因がある貧血とは根本的に原因がちがいます。

これからご紹介する症状は、血液そのもの原因があるものです。

共通する3つの症状

貧血の症状には、どの貧血にも共通することが3つあります。

  1. 各組織の酸欠(酸素不足)による症状
  2. 酸欠を補うために起こる症状
  3. 赤血球が少なくなることによる症状

それでは、具体的な内容について見ていきましょう。

1.各組織の酸欠(酸素不足)

私たちの体内では、さまざまな活動が行われていますが、その中で酸素は必要不可欠です。

酸素が不足することで、各組織が悲鳴をあげ次のような症状が起こります。

脳が酸欠
脳はもっとも多くの酸素が必要です。不足することで起こる症状は、頭痛・めまい・立ちくらみ・耳鳴り・ふらつき・失神などがあります。
心臓の筋肉が酸欠
全身の筋肉組織のなかでもっとも活動が盛んな組織は心臓です。不足することで起こる代表的な症状には狭心症があります。
骨格筋の酸欠
骨格筋とは、骨格を動かすための筋肉のことを言います。ここでの酸素が不足すると、疲れやすい感じがしたり、倦怠感(体が重い・だるい)、脱力感などが生じます。

2.酸欠(酸素不足)を補うために起こる症状

私たちの体は、酸素が不足していると感知すると、何とかして酸素を補おうと努力します。この働きのことを代償作用といいます。

酸欠(酸素不足)の代償作用の例

酸素が不足したら、よろ多くの酸素を取り入れようと、呼吸の回数を増やしたり、より多くの血液を全身に送り出すために、心臓が動く回数(脈拍数)を増やしたり、1回あたりに送り出す血液の量(心拍出量)を増やしたりします。

その結果起こる症状

酸欠(酸素不足)の代償作用によって起こる症状は、息切れや動悸などがあります。酸欠を補おうとする体の反応そのものが、貧血の症状となるわけです。

3.赤血球が少なくなることによる症状

私たちがケガをすると赤い血が出ますが、これを血液といい、赤い理由は赤血球にあります。この赤血球がすくなくなることで起こる症状は、顔色が青白くなったり、目の下のまぶたの裏が白くなったりします。

血液が赤い理由

赤血球は、酸素を運搬する役割がありますが、この役割の中心を担うのがヘモグロビンです。

酸素は、ヘモグロビンに含まれる鉄と結びつくことで全身に運ばれますが、鉄と酸素が結びつくと、鉄は酸化(錆びる)されます。

血液が赤く見えるのは、錆びた鉄が赤くみえるのと原理が同じことなのです。

(血液の役割については以下の記事で詳しく)

貧血がかなり進んだ場合の症状

さいごに、日本の貧血の3分の2以上を占めるといわれている、「鉄欠乏性貧血」における、酸欠(酸素不足)以外の症状についてご紹介します。

鉄欠乏性貧血は、その文字のとおり、鉄欠乏(鉄分不足)によって起こる貧血です。

そのため、酸欠(酸素不足)の症状に加えて、鉄分不足が招く症状もあらわれてきます。

かなり進行した鉄欠乏性貧血の症状には次のようなものがあります。

重度の鉄欠乏性貧血の症状

スプーンネイル
別の呼び方で、匙状爪(さじじょうつめ)と言われている、鉄欠乏性貧血の症状です。スプーンのように爪の中央が凹み、爪の先端がそりかえるためにそう言われています。
舌が赤くツルツルに
赤色平滑舌(せきしょくへいかつぜつ)とも言われ、舌全体が赤くツルツルになってしまう症状で、食べ物や飲み物が染みたり、ヒリヒリ痛んだりします。
やたら氷が食べたくなる
異食症(いしょくしょう)と言われ、ふつうは食べないような栄養価のないもの(土・氷・紙など)を食べたくてしかたなくなる症状です。なかでも氷を食べたくなる症状は有名です。

正確な原因は分からない

このうな鉄欠乏性貧血の症状が起こる理由については、現在でもはっきりと分かってはいません。

しかし、多くの専門家は、鉄分が細胞の増殖に必要不可欠だということに関係しているのではないかと考えているようです。

特に爪や粘膜、皮膚などは細胞の増殖性が高い組織ですから、そこに鉄分不足が特徴的な影響を及ぼすと考えられいるからです。。

さいごに

これまでにご紹介してきた、酸欠が招く症状と、重度の鉄分不足が招く症状は、すべての出方が異なる場合もあります。

一般的には、多量の出血などによって急に貧血になると症状は出やすく、ゆっくり進んだ場合ではその症状を自覚しにくいといわれています。

貧血の進行のしかたについて、以下の記事もご参照いただけたら幸いです。

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