二次性貧血(続発性貧血)の代表的な病気である「腎性貧血」。ここでは、腎性貧血とはどのような病気なのか、またその症状や治療法についてご紹介しています。
血液の材料が不足していたり、血液をつくる骨髄や造血幹細胞に異常があったりなど、血液それ自体やまわりの環境の異常ではなく、ほかの病気があるために貧血があらわれる場合があります。
ほかの病気によって起こるという意味で、「二次性貧血」「続発性貧血」「症候性貧血」と呼ばれます。
腎性貧血とは、その名の通り腎臓の病気にともなっておこる貧血のことです。まずは、人生貧血とはどのような病気なのかを見ていきましょう。
腎性貧血とは?
慢性腎不全(尿毒症)に伴なって起こる貧血を腎性貧血と言います。
日本透析医学会では、人生貧血を次のようにあらわしています。
腎性貧血とは,腎臓においてヘモグロビンの低下に見合った十分量のエリスロポエチン(EPO)が産生されないことによってひき起こされる貧血であり,貧血の主因が腎障害以外に求められないものをいう。
なぜ腎臓の病気と貧血が関係あるのかは、少しだけ血液がつくられる仕組みについての理解が必要です。
赤血球をつくる助けとなるエリスロポエチン
赤血球をはじめ、白血球、血小板といった血液細胞は骨髄でちくられています。それぞれの血液細胞は、カラダの中で一定の数を保っています。
赤血球は、造血幹細胞から赤血球への分化が義務付けられた前駆細胞を経て作られていきます。赤血球が骨髄のなかでどのように分化していくのかを順番に表してみます。
- 造血幹細胞
- 赤血球系前駆細胞
- 前赤血球
- 赤芽球
- 網赤血球
- 赤血球
このような順番で赤血球へと成熟していくわけですが、この過程の中で作用するものがエリスロポエチンです。
エリスロポエチンは腎臓で作られる
エリスロポエチンはおもにアミノ酸からできています。主に腎臓でつくられ、補助的に肝臓でも作られています。ほとんどが腎臓でつくられていることから、慢性腎不全などの病気になると、エリスロポエチンが不足し腎性貧血が起こります。
腎性貧血の原因
赤血球が成熟する過程で必要となるエリスロポエチンは、何かしらの原因でカラダの酸素が不足すると腎臓で盛んにつくられる仕組みがあります。
そのため、貧血になると、それを改善させようとしてエリスロポエチンは盛んにつくられ、血液のなかのエリスロポエチン値は高くなるのですが、人生貧血では、貧血改善に見合うだけのエリスロポエチン値の上昇が着られません。
そのため、腎性貧血ではエリスロポエチンが貧血の程度に比べて足りないことがおもな原因です。
あくまでも、腎性貧血の原因は。腎臓の病気にともなったエリスロポエチンの低下ですので、鉄欠乏性貧血ではないことなど、ほかの貧血が否定されていないといけません。
腎性貧血の症状
赤血球はカラダのすみずみに酸素を運びます。
「腎性貧血」になると、エリスロポエチンが少なくなるため赤血球が減ります。
そのため、以下のような一般的な貧血の症状があらわれます。
- 疲れやすい
- 動悸
- 息切れ
- めまいなど
通常の貧血と同じように、症状に慣れてしまい、自分が貧血だと自覚することが難しく、病気の発見が遅れてしまうい事が多くあります。
そのため、腎性貧血を悪化させてしまったり、合併症として心臓の病気などが起こる事がありますので注意が必要です。
二次性貧血(腎性貧血の治療)
二次性貧血の治療は、原因になっている病気を治療することが第一です。さらに、少なくなった赤血球を増やすための治療や、低下した腎臓機能の補助を目的とした治療が行われます。
腎臓の病気を治すための治療
一般的な慢性腎臓病など治療では、食事療法がおこなわれます。エネルギー制限、塩分制限、たんぱく質制限などを行うことで、腎臓機能の回復を目指します。
赤血球をつくるための治療
腎性貧血はエリスロポエチンが少なくなっていますから、それを補助するために、エリスロポエチンを注射によって投与したり、赤血球造血刺激因子製剤を投与したりします。
また、赤血球がつくられことを促進させるために、鉄剤を投与したりもします。
まとめ
貧血の症状は、赤血球に少なさや、ヘモグロビンの濃度の度合いによってはあまり左右されません。
進行のスピードによって症状の重たい軽いがわかれます。
腎性貧血の場合も徐々に進行するので、体がその症状に慣れてしまって気がつかないケースがあり注意が必要です。
また、たとえ自覚症状がなくても、貧血によって酸素が不足している状態では、それをカバーするために心臓に常に負担がかかっています。
腎臓の機能が低下している慢性腎臓病などの方は、貧血に加えて心臓の病気をおこさないよう、早めに適切な治療をすることが大切です。
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