日本人にもっとも多い「鉄欠乏性貧血」は、小球性貧血というものに分類されます。
小球性貧血とは何なのでしょうか?
それを知るには、貧血の検査項目について、いくつか理解する必要があります。
まずは、一般的な検査項目から見ていきましょう。
貧血の検査について
健康診断などで行われる、一般的な血液検査で調べられる、貧血に関連する項目は、以下の3つです。
- 赤血球数
- 血色素量
(ヘモグロビンの量) - ヘマトクリット
(血液中に占める血球の体積の割合。ほぼ赤血球の体積比と等しい)
これらの数値によって貧血が疑われた場合、さらに詳しい検査が行われます。
貧血の種類を特定するにあたり、赤血球のサイズが関わってくるのです。
赤血球の大きさの調べ方
貧血には、原因ごとに種類があります。
最終的にどの種の貧血なのかを特定するにあたり、様々な血液検査の項目が確認されますが、
▼貧血の検査項目について
その中で、赤血球の大きさも、貧血の分類するまでの大きな指標。
赤血球にサイズによって、考えられる貧血が特定されるからです。
赤血球の大きさと貧血の分類
ヘマトクリット(血液中の血球の割合)を赤血球数で割ると、赤血球の大きさの平均が分かります。
この数値をMCV(Mean Corpuscular Volume)といいます。
MCVの基準値は男女によって異なりますが、
血液検査の基準値について
MCVが基準値に収まっている場合、つまり、平均的な赤血球の大きさには異常がない場合の貧血を「正球性貧血」と言います。
文字の通り、赤血球のサイズは正常である貧血です。
基準値を下回る場合は、赤血球のサイズが正常よりも小さい貧血という意味で、「小球性貧血」と呼ばれます。
基準値を上回る場合は、赤血球のサイズが正常よりも大きい貧血という意味で、「大球性貧血」です。
鉄欠乏性貧血は小球性貧血
小球性貧血は、体内の赤血球が少なくなり、赤血球をたくさんつくろうとするものの、何らかの理由で完全な赤血球をつくることができず、赤血球のサイズが小さくなっている状態です。
繰り返しまずが、日本人にもっとも多い「鉄欠乏性貧血」は、小球性貧血に分類されます。
赤血球の役割は酸素の運搬。
その中心的な役割を果たすのはヘモグロビンです。
ヘモグロビンは鉄分を材料としています。
ですから、鉄分が十分に摂取できていなければ、赤血球1つあたりの鉄分量を減らして、何とか赤血球だけは維持しようとします。
その結果、赤血球は小さくなってしまうのです。
さいごに
ここでは小球性貧血についてご紹介いたしました。
貧血とは、血液が薄い状態のことを言いますので病名ではありません。
ヘモグロビンが少なくなる原因はさまざまで、原因ごとにそれぞれ病名がさだめられています。
大切なことは、貧血=鉄分不足と勝手に決めつけず、その原因をしっかりと特定してもらうことです。
参考文献
- 「貧血大国日本」山本佳奈著 光文社新書
- 「赤血球の形態異常」広島市医師会だより(第559号付録)
- 「36.貧血」日本臨床検査医学会
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