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貧血の原因「子宮筋腫」とは? 経血量が多い人は貧血に注意!

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生理の多さに悩み、顔色も悪く、たびたび起こる「めまい」「息切れ」「動悸」。

病院で調べてもらったら「子宮筋腫」が見つかり、さらに出血の多さが原因で「貧血」と診断された人も多いかと思います。

ここでは、「もしかしたら子宮筋腫かな?」と思ったときに気をつけたい事や、原因や症状、貧血との関係について詳しくご紹介いたします。

子宮筋腫とは?

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子宮筋腫は、筋腫といっても「がん」ではありません。良性の腫瘍です。

30歳以上の女性の20~30%、顕微鏡がなければ目に見えないほど小さいものを含めると約75%にみられるとされ、その人数は近年増え続けています。

子宮筋腫になりやすいのは?

子宮筋腫は、以下の年代順にもっとも発症しやすいと言われています。

  1. 40代
  2. 30代
  3. 50代

ですが、この中の約80%は35~50歳に見られるのが特徴です。

子宮筋腫の原因

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子宮筋腫の原因については、まだ十分には分かっていません。

しかし、閉経すると子宮筋腫が小さくなることから、生理の際にくり返し放出される女性ホルモンが関係していると言われています。

子宮筋腫は、生理がはじまるまでは発症しません。

また、妊娠期間中や授乳期には生理がないため、出産の回数が多いほど、発症率は低くなります。

現代女性の病と言われるワケ

昔のように、1人の女性がたくさん出産をしていると、妊娠・授乳期間が長くなるため、子宮筋腫はできにくくなります。

そして現在の「少子化」。

そう考えると、子宮筋腫は「現代女性の病」だと言っていいのかもしれません。

子宮筋腫の症状

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子宮筋腫のおもな症状は、「出血の量が多い」、「生理痛などがひどい」、「子どもができにくくなる不妊」です。

さらに多くの場合、血液検査ではヘモグロビンの数値が低くなります。

つまり、子宮筋腫の出血の多さが原因で、「鉄欠乏性貧血」を発症するケースが多いという事になります。

子宮筋腫の種類と症状

子宮筋腫は、どこにできるかによって、おもに「筋層内筋腫」「漿膜下(しょうまくか)筋腫」「粘膜下筋腫」の3つに分かれ、その症状にも特徴があります。

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子宮筋腫は、これら3種類のものが1つ起こるよりも、複数合わせて起こることが60~70%だと言われています。

1. 筋層内筋腫の症状

子宮筋腫の中で最も大きな割合をしめる子宮の筋層内にできる筋腫です。小さいうちは症状が出ませんが、大きくなると出血が多くなり貧血を招くことが多くなります。また、不妊の原因にもなります。

2. 漿膜下筋腫の症状

子宮の外側を覆う「漿膜」の下にでき、小さいうちは症状がありません。外に向かって大きくなっていくので、大きくなると膀胱や直腸、他の臓器を圧迫し、排尿障害や便秘をおこすこともります。

3. 粘膜下筋腫の症状

子宮の内側を覆う「粘膜」の下にでき、子宮の内側に向かって大きくなっていきます。小さくても何らかの症状が出ることがあります。粘膜を傷つけるため出血が増え貧血が起こりやすくなります。生理がない時も出血を起こすことがあります。また、受精卵が着床しにくくなり不妊症の原因にもなります。

子宮筋腫と貧血の関係

子宮筋腫になると、なぜ貧血になるのでしょうか?

そのことを理解するためには、少しだけ生理の仕組みを理解する必要があります。

まずは、生理がくると出血が起こるしくみを、かんたんにご紹介いたします。

生理による出血のしくみ

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子宮の内側を覆う「子宮内膜」には、細胞、毛細血管、分泌腺などが含まれていて、生理がはじまる周期に合わせて、その厚さを変えます。その厚さは、生理前には1cmにも達しています。

生理がはじまると、子宮内膜の表面がはがれ落ちます。

そのときに血液を固まらせる凝固因子が壊され、たまった血液が月経血となって出てきます。

子宮筋腫では出血が増える

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子宮筋腫ができると、子宮内膜の面積が増えます。

すると、生理のときにはがれ落ちる子宮内膜の量が多くなり、出血の量が増えてしまうのです。

時には出血が大量だったり、10日以上続いてしまうこともあります。

月経血の50~60%は血液です

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生理のときに出る「月経血」の50~60%は血液です。

そのため、子宮筋腫になり月経量が増えるということは、多くの血液を失うことです。

血液には、多くの鉄分が存在します。

つまり、「血液を失う=鉄分を失う」こととなりますので、子宮筋腫ができると貧血になってしまうのです。

子宮筋腫の症状かな?その時に気を付けたい事!

 

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「月経量が多い」「生理痛がひどい」など、もしかしたら子宮筋腫かな? と思った時に気を付けたいことは、とにかく早く専門医に相談することです。

婦人科の病気特有の事情があるのかもしれませんが、子宮筋腫の治療はどうしても遅れがちだと言われています。

多くの女性は子宮筋腫があっても、なかなか周囲に相談しません。アメリカのメーヨークリニックの研究者の報告では、症状が出てから周囲に相談するまでには平均で3.5年が経過していました。(三分の一は5年以上が経過していました)。

引用:「貧血大国日本 放置されてきた国民病の原因と対策」山本佳奈著 光文社新書

子宮筋腫は早めに相談を!

子宮筋腫の治療は大きく進歩していて、ダメージの少ない手術や、避妊薬を使った内科的治療、さらに子宮に栄養をおくる血管を詰めてしまう技術も開発されました。

少しでも子宮筋腫を疑ったら、早めに専門医に相談されることをおすすめします。

参考文献

  • 「日産婦誌61巻5号」日本産科婦人科学会
  • 「貧血大国日本」山本佳奈著 光文社新書

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