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妊婦が貧血になりやすい2つの原因と、対策において重要なこと!

女性にとって妊娠・出産は、人生において一大イベントです。

ここでは、妊娠時に必要な栄養のなかでも、貧血ととくに関わり合いの深い「鉄分」や「たんぱく質」の必要量について、また、妊婦が貧血になりやすい理由と、赤ちゃんへの影響についてご紹介します。

妊婦の体の変化と必要な栄養

妊娠すると、女性の体は大きく変化します。

最初は0.1 mmくらいだった受精卵も、約10か月後には50cm、約3,000mgになるわけですから、お母さんの体も、それに合わせて変化せざるをえません。

具体的な体の変化

血液の量
心臓から押し出される血液の量が30~50%ほど増えます。
心拍数
妊娠前は、1分間に70回程度ですが、妊娠すると、1分間に80~90回まで増えます。
子宮の容積
胎児の成長に合わせて、子宮の容積は妊娠前よりも2,000倍程度にまで大きくなります。
その他
呼吸は早く深くなり、乳房は授乳に備えて大きくなります。

妊娠すると、お母さんは自分の体を養うだけでは済みません。

妊婦に必要なエネルギーや栄養

妊娠中は、おなかにいる赤ちゃんのためにも、たくさん栄養や酸素が必要です。

とくに、より多くの血液が必要なため、血液の材料となる「鉄分」や「たんぱく質」の重要性が大きくなります。

具体的にどれくらいの量が必要なのか、厚生省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より見てみましょう。

女性の推定エネルギー必要量(kcal/日)

1日あたらいの必要エネルギー量は、妊娠初期で+50kcal、中期で+250kcal、後期で+450kcalとされています。

18-29歳 1,950
30-49歳 2,000
50-69歳 1,900
70歳以上 1,750
妊娠初期の付加量 50
妊娠中期の付加量 250
妊娠後期の付加量 450
授乳期の付加量 350

女性のたんぱく質の必要摂取量(g/日)

たんぱく質の必要摂取量は、妊娠中期で+10g、後期で+25gとされています。

18-29歳 50
30-49歳 50
50-69歳 50
70歳以上 50
妊娠初期の付加量 0
妊娠中期の付加量 10
妊娠後期の付加量 25
授乳期の付加量 20

女性の鉄分の必要摂取量(mg/日)

鉄分の必要摂取量は、妊娠初期で+2.5mg、中期・後期で+15.0mgとされています。

18-29歳 月経なし:6
月経あり:10.5
30-49歳 月経なし:6.5
月経あり:10.5
50-69歳 月経なし:6.5
月経あり:10.5
70歳以上 月経なし:6
妊娠初期の付加量 月経なしの値+2.5
妊娠中期の付加量 月経なしの値+15.0
妊娠後期の付加量 月経なしの値+15.0
授乳期の付加量 月経なしの値:2.5

妊婦の半数近くは貧血!?

日本では、妊婦の30~40%は貧血だと言われています。

日本国際保健医療学会では、先進国での妊婦の貧血の割合を次のように発表しています。

貧血の妊婦の割合は、先進国では18%であるのに対し、途上国では56%にのぼる。

引用:「鉄欠乏性貧血」一般社団法人日本国際保健医療学会

日本の妊婦の貧血頻度は、先進国の中では最悪レベルの数値で、むしろ、途上国の56%に近い状況です。

妊婦の貧血が多い背景

厚生省では、「妊産婦のための食生活指針」において、妊娠期の鉄分不足に対して啓蒙しています。

啓蒙とは、人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと。

引用:「goo辞書」

しかし、これほど多くの妊婦が貧血になってしまうのはなぜでしょうか?

その背景には、

  1. 啓蒙が周知されていないこと
  2. 妊娠を控えている若年女性に貧血が多いこと
  3. 日本人の食生活では貧血になりやすいこと

などがあると考えられています。

貧血の赤ちゃんへの影響

お母さんが貧血の場合、おなかの赤ちゃんにはどのような影響があるのでしょうか?

妊娠初期から中期にかけて貧血だった妊婦の子どもは、低出生体重児である確率が1.29倍早産になるリスクは1.21倍も上昇したと、ハーバード大学の研究者より報告されています。

また、最近の研究では、お母さんの貧血が、子どもが成長したあとの健康状態に影響がある可能性が示唆されてきています。

妊婦に貧血が多い2つの原因

妊婦が貧血になりやすい、代表的な原因を2つご紹介します。

1.つわりで食事がままならない

妊婦は、自分だけでなく、おなかの赤ちゃんにも酸素や栄養を送る必要があるため、たくさんの血液が必要です。

そのため、妊婦はたくさんの鉄分を補充しないといけませんが、つわりが起きると、吐き気がひどくなり、食事がままならなくなります。

食事が十分にとれないと、鉄分も不足し、それまで健康体であった女性も。体内に蓄積されていた鉄分がなくなってしまい、やがて貧血を引き起こすことになってしまいます。

つわりのピーク時は赤ちゃんにって大切な時期

通常、つわりのピークは妊娠7~9週頃。

おなかの赤ちゃんの骨格を含め、臓器が形成されるのは妊娠8~10週頃です。

つまり、つわりが最もひどい時期というのは、赤ちゃんにとっても大切な時期であり。このときのお母さんが貧血だと、赤ちゃんに影響がでても不思議ではありません。

2.出産に備え血液がうすくなる

妊娠すると、あ母さんの体は、出産のときの大量出血に備えるため、血液の液体成分である血漿が最大で47%も増え、血液の血球成分である赤血球も17%増えます。

液体成分(血漿)の増加率が、血球成分(赤血球)の増加率よりも高いため、血液中に占める赤血球の割合が低くなります。

つまり、血液がうすまった状態になった結果、貧血はさらにひどくなるのです。

貧血対策は妊娠してからでは遅い!

食べ物によって鉄分が不足している場合、「サプリメントや鉄剤で補えばい良い」と思われる方も多いかと思います。

しかし、話しはそう単純ではありません。

妊娠が分かってから必死に鉄剤やサプリを飲んでも、すでに手遅れの可能性が多いからです。

手遅れが多い理由

仮に鉄剤を服用した場合、貧血を改善するためには、最低でも1~2か月かかると言われています。

妊娠が分かるのは、通常妊娠6週くらいが多いとされています。

その時点から鉄剤を服用した場合、貧血が改善するときは妊娠10週程度です。

この、妊娠6週から10週までの時期というのは、赤ちゃんの発達にとってとても重要な時期です。

妊娠3週~8週
赤ちゃんの循環域系や呼吸器系、消化器系、神経系が形成される
妊娠8週~11週
実際にこれらの臓器が動きはじめる

つまり、妊娠が発覚してから、いくら鉄剤を飲み続けたとしても、赤ちゃんの発達に重要な時期には間に合わないということになります。

妊婦の貧血対策で重要なこと

これまでご紹介してきたように、妊婦の貧血対策は、妊娠してからでは遅すぎます。

妊婦の鉄分不足を改善するために、世界各国ではさまざまな対策が行われています。

小麦粉や砂糖、塩などに鉄を添加しているのが一例です。

一方、日本では、公的な貧血対策はとくに行われていません。

▼日本と世界の貧血対策の違いについて

貧血の対策は、あくまでも個人の意思に委ねられているということになります。

まずは鉄分不足を把握しよう!!

妊娠を考えている女性は、まず自分の鉄がどれくらい不足しているのかを知るこ必要があります。

妊娠してら貧血の対策をはじめたとしても、おなかの赤ちゃんには多いな影響を与える可能性があることを知り、貧血に対する意識を改めることが、赤ちゃんにとっても、お母さんにとっても重要なことだと言えます。

▼鉄分不足の調べ方

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