A型、O型、B型、AB型、これら血液型は、いったい何がどのように分かれるのでしょうか?貧血と血液型には何か関係があるのでしょうか?
さらに、「A型は几帳面」「O型は大雑把」「B型はマイペース」などとよく言われますが、血液型によって本当に性格が分かれるのでしょうか?
また、「血液型が途中で変わった!」などと言ったことを聞いたことありませんか?
ここでは、血液型はどのように分かれているのか、貧血と関係はあるのか、本当に性格が分かれるのか、途中で変わることってあるのかという、4つの疑問についての情報をお届けします。
血液型は赤血球の型を意味している
血液型とは、一般には赤血球の血液型を意味しています。具体的には、赤血球の表面にある、赤血球型抗原物質のことです。
白血球や血小板にも同じような抗原物質が存在していて、それらも含めて血液型という場合もありますが、通常は赤血球の型のことを指しています。
実は400種類の血液型がある
血液型は遺伝によって定められています。血液型には、ABO式血液型をはじめ、Rh式、MN式、P式など多数の種類があります。
現在までに、約400種類以上の赤血球型抗原物質が発見されています。そのため、血液型にもそれだけの種類があると考えても良いのです。
輸血の場合は血液型検査が必要です
重度の貧血の場合では輸血をしないといけない状況があります。貧血以外でも、出血の量が大い場合でも輸血が必要な場合があります。
血液型にはたくさんの種類があるとご紹介しましたが、輸血を受ける人と、血液を供給する人の血液型の違いが、輸血に際して副作用を起こす場合があるので、ABO式とRh式血液型の抗Dについて検査されています。
Rh式血液型とは?
Rh式血液型の抗体は、6種類あることが明らかになっています。1番重要なのが抗Dといわれるものです。一般的にRhプラス。Rhマイナスというときには、抗Dが陽性か陰性かを表しています。
今日、Rh抗原は非常に複雑ですが、一般には C ・ c ・ D ・ E ・ e などの抗原がよく知られています。Rh陽性やRh陰性という表現は、これらのうちD抗原がある場合をRh陽性、ない場合をRh陰性としています。
Rhマイナスの人が、Rhプラスの血液を輸血すると、約50%の確率で副作用などが起きます。そのため、Rhマイナスの人は、同じ血液を輸血してもらう必要があります。
Rhプラスの人はマイナスの血液を輸血しても問題はないそうです。
日本人の血液型の割合
日本の血液型の割合は、A型:O型:B型:AB型は、約4:3:2:1の割合とされています。
日本の人口は平成29年8月の概算値で、約1億2,600万人とされています。(総務省統計局より)
ですから、日本の血液型別の人口は以下のようになります。
- 1位 A型:5,040万人(約2.5人に1人)
- 2位 O型:3,780万人(約3人に1人)
- 3位 B型:2,520万人(約5人に1人)
- 4位 AB型:1,260万人(約10人に1人)
希少な血液型
日本人では、Rhプラスの人が99.5%、Rhマイナスの人はわずか0.5%です。
ABO式の血液型では、ご紹介したようにAB型がもっとも割合が少なく、約10人に1人です。
そのため、AB型のRhマイナスの血液型を持つ人はとても希少で、約2000人に1人といわれています。
さらに希少な「黄金の血液」
Rhの抗原が全くないため、輸血しても患者に拒否反応が起きず、誰にでも輸血できる血液型が存在します。パリの国立免疫血液学研究所の所長が「golden blood」と呼んだのが始まりです。
国際赤十字の2010年の調査では43人(世界人口の0.01%)しか確認されていないそうです。
しかし、誰にでも輸血ができる代わりに、自分に輸血が必要なときは、同じ血液型を見つけることができないに等しいため、良いか悪いかは別の問題です。(全く輸血できないわけではないようですが、2回目以降の輸血では抗体反応が出てしまい命に関わるそうです。)
A型とO型は貧血になりやすい?
「貧血になりやすい人の特徴を徹底的に調べてわかった重要なこと!」でもご紹介しましたが、B型遺伝子を持つ、B型とAB型の人は、ヘモグロビンの値が1割りも高く、貧血になりにくいという情報があります。
つまり、B型遺伝子をもたないA型、O型の血液型は、B型、AB型に比べ貧血になりやすいともいえます。
また、同研究チームがネイチャー・ジェネティクス(米科学誌)に発表した内容では、約15,000人分の遺伝子の個人差を解析した結果、血液検査の項目と関係がある遺伝子を46個見つけたことで、個人ごとに血液検査の「正常値」が変わる可能性があり、貧血などさまざまな病気の診断に役立つかもしれないとのことです。
情報元:Nature Genetics 「血液と代謝形質日本人集団の血液学的ならびに生化学的形質に関するゲノムワイド関連研究」
血液型と性格は関係あるの?
A型の人は几帳面。O型の人はおおらかなど、血液型と性格については、日常の会話においても話題になることがおおいのではないでしょうか?
実際はどうなのか、これには「関係がない」「関係がある」という2つの意見があります。ここでは、その2つについてそれぞれの情報をご紹介いたします。
血液型と性格は関係があるという意見
さまざまな書籍で、血液型と性格は関係あると述べられています。その中で。「血液型の科学」(祥伝社)藤田紘一郎著書による内容では、以下の3つの理由で、血液型と性格はある程度かかわってくるとされています。
- 1.免疫力に違いがある
- A型の人は血清中には抗B抗体しかない。B型の人には抗A抗体しかなく、AB型の人はどちらも持たない。逆に、O型の人は抗A抗体と抗B抗体の両方を持つので一番免疫力が強いのがO型、次いでB型、次がA型で、最後にAB型。
- 2.好みの食物が異なる
- 人類の祖先はO型で農耕民族としてそれに合う腸内細菌が増えていった。その腸内細菌がやがて遺伝子に組み込まれ、A型人間ができたと考えられる。また、遊牧民族は、乳製品をたくさんとるようになったので、それに合う腸内細菌が増え、それが遺伝に影響してB型人間が誕生した。
- 3.かかりやすい病気がある
- 肺炎球菌はB型物質を多く持つため、B型の人は肺炎にかかりやすい。O型は胃酸を多く分泌して肉類を効率よく消化する体質であるため、ストレスがたまると潰瘍になりやすい。
これらの要素から派生して、ある程度性格が決定される要素となったとされています。また次のようなデータからも、血液型と性格の関係を結びつけてありました。
- A型は自動車事故が少ない。O型は事故率が高い。
- B型は気移りタイプ。交差点などの出会いがしらの事故が多い。
- O型は病気にかかり難いので社交性が高く、自己主張が強い。昔の総理大臣はO型が圧倒的に多い。
引用:「血液型の科学」
血液型と性格は関係ないという意見
人の性格は複雑で環境に左右されることが多いのでA、B、O、ABの4種類に分けることは無理があるという考え方です。
しかし、人の性格のかなりの部分は遺伝によって影響を受けますので、親からの遺伝によって決定されるABO式血液型と、親のもつ性格の遺伝とのあいだに、何らかの関係があったも不思議ではありません。
つまり、根本的に備わっているものという点では、「血液型は性格に100%関係ない」とまでは言い切れないのかもしれません。
血液型は途中で変わる?
「血液型を調べた結果、以前に調べてもらった結果と違う。」このようなことがあったり、聞いたりしたことはありませんか?そうなってしまうのは検査のミスではなく、おもに次の4つの理由があります。
血液型が変わる4つの理由
1.抗原性がが亜型
血液型の判定することが難しい場合があります。それは、A型やB型の抗原性が通常とはちがっている場合です。この抗原を亜型といいます。
血液型を調べてもらって、以前に調べてもらったものと違う血液型だといわれたら、血液型が典型的でなく亜型を示していて、抗体にたいする抗原性に微妙な差があると考えられています。
2.成長によって変わる場合
新生児のときは血液型がはっきりとせずに、5歳~7歳ころになってはっきりする場合もあります。抗原性が成長とともに発達することがあるためです。
3.病気によって変わる場合
病気によってA型の抗原性が弱くなり、O型と区別がつかなくなったり、O型やA型だった人がB型の抗原性をもって、B型やAB型に変わることもあるようです。
4.もともと2つの血液型を持っている
異なる血液型の赤血球をもっているひとがまれにいるようです。それは、血液型が違う双子(二卵性双生児)のあいだで、胎児のときに子宮の中で、片方の造血幹細胞(赤血球のもと)がもう片方に移動して骨髄についた結果、2種類の血液型を一生つくるようになったと説明されています。その場合は、唾液の中の型物質を調べることでその人本来の血液型がなにか検討がつくそうです。
まとめ
以上、血液型に関する4つの疑問についての情報をご紹介いたしました。
- 血液型はどのように分かれているのか→赤血球の表面にある抗原物質によってABO式とRh式の2つで分けられることが一般的です。
- 貧血との関係は?→B型とAB型の人は貧血になりにくいという情報があります。
- 性格との関係は?→諸説ありますが、根本的に備わっている資質という点では、何らかの関係があるのかもしれません。
- 血液型は途中でかわるの?→抗原性がが亜型、成長によって変わる、病気によって変わる、もともと2つの血液型を持っているという4つのケースがあります。
血液型に関して、これまで疑問に思っていたことが少しでも解決されましたら幸いです。
参考書籍
「貧血と血液の病気」浦部晶夫著 インターメディカ
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