鉄分は、ビタミンCと一緒に摂ると、吸収が良くなります。
また、ビタミンB群には血液をつくる作用があり、貧血の改善には欠かせません。
このように、貧血の対策とは切っても切れない関係があるビタミン。
ここでは、貧血とビタミンの関係について詳しくご紹介致します。
鉄分の種類と吸収
食べ物に含まれる鉄分には、肉や魚介類などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀類、果実類などに含まれる「非ヘム鉄」とがあります。
日本人が食事から吸収する鉄の85%以上は「非ヘム鉄」です。
「ヘム鉄」は、レバー、牛肉、マグロ、カツオといった赤身の魚などに多く含まれています。
▼鉄の水類について詳しく
非ヘム鉄は、ほかの栄養素からの影響を受けやすいため、一緒に食べるものによって、その吸収率は大きく変化します。
その代表的な栄養素がビタミンC。
まずは、ビタミンCが鉄分の吸収を良くする理由から見ていきましょう。
鉄分の吸収を助けるビタミンC
動物性のヘム鉄は、体内に入り、そのまま小腸で吸収されます。
一方、非ヘム鉄は、3価鉄から2価鉄へと還元されてから、小腸で吸収されます。
還元には、小腸にある還元酵素を働きを借りますが、ビタミンCやクエン酸にもこうした還元作用があるため、一緒に摂ると、3価鉄から2価鉄への還元がより促されます。
したがって、大豆製品や野菜など、非ヘム鉄を含む食べ物と、ビタミンCの多い食べ物を一緒に調理することは、とても良い方法です。
ただしビタミンCは、加熱調理で破壊されやすく、また水に溶けやすいという弱点がありますので注意が必要です。
▼鉄分を含む食べ物の一覧
造血に必須のビタミンB
ビタミンB群、特にビタミンB6・ビタミンB12、葉酸には、造血作用があるため、貧血改善にも必要不可欠です。
血液をつくるために欠かせない、代表的な栄養素は鉄分です。
ほかにも、赤血球がつくられる上で欠かせない栄養素にビタミンB12と葉酸があります。
ビタミンB12や葉酸以外にも、ビタミンB2やビタミンB6も赤血球を造るのに欠かせません。
これらのビタミンはお互いに助け合いながら作用するからです。
とくに妊婦は葉酸が必要
葉酸は、血液をつくる以外にも、たんぱく質の合成にも欠かせません。
つまり、細胞が新しく造りだされるときに必要です。
赤ちゃんがお腹にいるときは、細胞分裂が活発なので、妊婦さんはとくに葉酸が必要になります。
葉酸も加熱すると壊れやすく、水に溶けやすい性質があります。
- 野菜スープなどはできるだけスープごと食べる。
- 生で食べられるものはできる限りそのままで。
- 加熱時間をできるだけ短くする。
などの工夫が大切です。
ビタミンや果実酸を多く含む食べ物
さいごに、こちらの記事でご紹介した、
- ビタミンC
- ビタミンB12
- 葉酸
- ビタミンB2
- ビタミンB6
を多く含む食べ物をご紹介いたします。
ビタミンCを多く含む食べ物
野菜類【mg/100g】
- 赤ピーマン/果実、生【170】
- めキャベツ/結球葉、生【160】
- 黄ピーマン/果実、生【150】
- パセリ/葉、生【120】
- ブロッコリー/花序、生【120】
果実類【mg/100g】
- ゆず/果皮、生【160】
- キウイフルーツ/黄肉種、生【140】
- レモン/全果、生【100】
- かき/甘がき、生【70】
- いちご/生【62】
藻類【mg/100g】
- あまのり/焼きのり【210】
- あおのり/素干し【62】
- 乾燥わかめ/素干し【27】
- あおさ/素干し【25】
- まこんぶ/素干し【25】
ビタミンB12を多く含む食べ物
肉類【μg/100g】
- うし/肝臓/生【52.8】
- にわとり/肝臓/生【44.4】
- ぶた/肝臓/生【25.2】
- うま/赤肉、生【7.1】
- ビーフジャーキー【3.5】
魚介類【μg/100g】
- しじみ/生【68.4】
- あかがい/生【59.2】
- あさり/生【52.4】
- ほっきがい/生【47.5】
- はまぐり/生【28.4】
藻類【μg/100g】
- あまのり/ほしのり【77.6】
- いわのり/素干し【39.9】
- あおのり/素干し【32.1】
- あおさ/素干し【1.3】
- わかめ/原藻、生【0.3】
葉酸を多く含む食べ物
肉類【μg/100g】
- にわとり/肝臓/生【1300】
- うし/肝臓/生【1000】
- ぶた/肝臓/生【810】
野菜類【μg/100g】
- きく/菊のり【370】
- 和種なばな/生【340】
- えだまめ/生【320】
- からしな/葉、生【310】
- ほうれんそう/生【210】
果実類【μg/100g】
- ドライマンゴー【260】
- ライチー/生【100】
- ちご/生【90】
- アボカド/生【84】
- キウイフルーツ/緑肉種、生【36】
藻類【μg/100g】
- あまのり/焼きのり【1900】
- いわのり/素干し【1500】
- かわのり/素干し【1200】
- 乾燥わかめ/素干し【440】
- あおのり/素干し【270】
ビタミンB2を多く含む食べ物
肉類【mg/100g】
- ぶた/肝臓/生【3.60】
- うし/肝臓/生【3.00】
- にわとり/肝臓/生【1.80】
野菜類【mg/100g】
- とうがらし/果実、乾【1.40】
- 生わらび、生【1.09】
- きく/菊のり【0.89】
- 干しわらび、乾【0.46】
- しそ/葉、生【0.34】
藻類【mg/100g】
- あまのり/ほしのり【2.68】
- かわのり/素干し【2.10】
- いわのり/素干し【2.07】
- あおのり/素干し【1.66】
- ふのり/素干し【0.61】
ビタミンB6を多く含む食べ物
肉類【mg/100g】
- うし/肝臓/生【0.89】
- ビーフジャーキー【0.85】
- にわとり/ささ身/生【0.66】
- にわとり/むね/皮つき、生【0.57】
- ぶた/ヒレ/赤肉、生【0.54】
魚介類【mg/100g】
- みなみまぐろ/赤身、生【1.08】
- まぐろ/びんなが/生【0.94】
- くろまぐろ/赤身、生【0.85】
- めばちまぐろ/赤身、生【0.76】
- かつお/秋獲り、生【0.76】
野菜類【mg/100g】
- とうがらし/果実、乾【3.81】
- にんにく/りん茎、生【1.53】
- ドライトマト【0.95】
- きく/菊のり【0.69】
- ししとう/果実、生【0.39】
参考文献
- 「うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった」藤川徳美著 光文社新書
- 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
この記事が気に入ったら
いいね!しよう