鏡に向かい、目の下のまぶたをめくってみてください。何色をしていますか?
ピンク色など薄い赤色であれば大丈夫です。もし、目の下のまぶたの裏が白い色をしていれば、貧血かもしれません。
よく病院で診察を受けるときに、クルっとまぶたをめくられてチェックされますが、まぶたの裏の色を見ることで、貧血などの可能性を確認している行動なのです。
ここでは、なぜ貧血になるとまぶたの裏が白くなるのかという疑問についてご紹介します。
まずは、貧血とは何なのかをかんたんに見ていきましょう。
貧血って?
貧血と聞くと、どのような状態を思い浮かべますか?
しゃがんだ状態から立ち上がると、クラクラと立ちくらみがする。朝礼で立っていていたら、目の前が暗くなって倒れてしまう。このようなときに「貧血が起きた。」と言われますが、 これは厳密にいうと貧血と違います。
脳貧血と言われているもので、医学的には、「血管迷走神経反射」「起立性低血圧」など言われるものです。
体内の酸素が不足することで起こる症状という点では共通していますが、なぜ酸欠になったのかという原因が異なるのです。
▼貧血と脳貧血の原因の違いについて
貧血とは血が薄いこと
貧血とは血液中のヘモグロビンが少なくなっている状態です。
ヘモグロビンとは、赤血球中の大部分を占めている血色素。私たちの血液が赤いのはヘモグロビンによるものです。貧血の人は顔色が青白いことはよく知られていますが、これは、血色素であるヘモグロビンが少なくなっているからなんです。
▼ヘモグロビンについて
血液の色が赤い理由
ヘモグロビンが血色素であるとご紹介いたしましたが、詳しく言うと、ヘモグロビンのヘムが酸素を結びついているからです。
ヘモグロビンはヘムとたんぱく質から構成されています。
ヘムとは、価数が2価の鉄原子を中央に配位したポルフィリン誘導体です。言葉で聞くとややこしいようですが、図を見ると分かりやすいです。
この真ん中の鉄原子が酸素を結びつくことで赤色になります。
鉄がサビると赤くなるのは、古いネジなんかを想像すれば分かるかと思います。
つまり、ヘムの真ん中に位置する鉄が酸素と結びつき酸化されることで赤く見えるわけです。
血が青い生き物??
ちなみに、青い血液の生き物がいることはご存知ですか?
それは甲殻類や軟体動物であるタコやイカなどです。
ヘモグロビンの代わりにヘモシアニンという銅原子をもっているため、10円玉がさびるように、銅が酸化されて青くなります。
タコやイカをさばいても青い血液が出てこないのは、酸素と分離したら無色になるからと言われています。
私たち人間も同じで、酸素を各組織に送り届ける前の酸素を含んだ血液は、とても鮮やかな赤色をしています。
酸素を運んだあとの血液は、どす黒い赤色です。
目の下のまぶたの裏が白くなる理由
これまでにご紹介してきたように、血液はヘモグロビンによって赤い色をしています。
貧血とはヘモグロビンが少なくなっている状態ですから、不足すると顔色や肌の色が青白くなるのと同じように、目の下のまぶたの裏も白く見えてしまいます。
特に下まぶたの裏は血管が集中しているうえ皮膚が薄いので色がわかりやすいのです。
特に女性は要注意
女性の場合は月経の度にたくさんの鉄分が失われ、ヘモグロビンの材料である鉄が不足することで貧血になりやすいです。
基本的な原因は食事によって十分な鉄が摂取できていないことです。
中には、子宮筋腫など婦人科系の病気だったり、消化器官の出血をともなう病気などが原因となっている場合がありますので、自己判断せずに一度検査をしてもらいましょう。
その他まぶたの色で参考になること
目の下のまぶたの裏が白い場合は貧血が疑われますが、白以外の場合に疑われる代表的なものをご紹介します。
赤すぎる
目の下のまぶたの裏が赤すぎる場合は結膜炎などの炎症が疑われます。細菌感染などが原因です。かゆかったり、目やにが出ていたりする場合は確率が高いので、眼科で見てもらう事をおすすめします。炎症以外では、血液が濃い多血症が疑われます。多血症は文字通り血液が濃い状態で、赤血球の数やヘモグロビンの濃度が上昇しています。
黄色っぽいデキモノ
まぶたの裏にできものがあった時は注意が必要です。痛みやかゆみがある場合はとくに、目の病気の可能性があります。いわゆる「ものもらい」と呼ばれるものですが、まぶたの分泌腺が細菌の感染によって炎症を起こしたり化膿した状態のことです。
ものもらいの原因となる細菌はたくさんありますが、代表的なものは黄色ブドウ球菌という、食中毒や肺炎を起こすことでも有名な細菌です。自然に治ることもありますが、眼科で診てもらうことをおすすめします。
目の下のまぶたの裏が白い時の対処法
目の下のまぶたの色が白いという事は、ヘモグロビンが少ないという事。つまり貧血の可能性が高いという事です。
貧血の原因の大半は鉄分不足。食事による鉄分の摂取が足りない状況の積み重ねが、現在へと至っています。
しかし鉄分は、吸収しにくいうえ、その吸収率も体の状態によって変化するという特徴があります。
ただやみくもに、鉄分の多い食べ物を食べれば良いというわけではないのです。
ですから、貧血(鉄分不足)の改善には、鉄分に関する正しい知識を得ることが大切。そのために以下の記事をぜひお役立てください。
さいごに
貧血にも原因ごとにいくつかの種類がありますが、貧血の大半を占める鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行していくため、その症状になれてしまい、自覚症状がない人がほとんどです。血液検査の結果、あまり症状を感じなかったのに「重度の貧血」と診断される人も少なくありません。
そんな貧血にたいして、目の下のまぶたの裏の色を見るという、誰でもかんたんなる方法は、貧血を疑う機会になるとても意味のあることです。
あくまでも、まぶたの裏が白いから貧血なのではなく、「白いから貧血かもしれない」という簡易判断をするためのものなので、貧血かどうかは検査をしてもらう必要は当然ありますが、「もしかしたら貧血かも!?」と疑うきっかけにでもなりましたら幸いです。
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