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血液検査でのヘモグロビン値。基準値や貧血の度合いについて

貧血を診断する際、1番の指標となる「ヘモグロビン値」。

ここでは、血液検査でのヘモグロビン値について、貧血との関係や、その基準値について詳しくご紹介しています。

「そもそもヘモグロビンって何?」

「ヘモグロビンが低いとどうなるの?」

「この数値ってどの程度の貧血?」

などといった疑問の解消に役立つ内容です。

血液検査でのヘモグロビンの表記

血液検査の結果項目ではおもに、Hb・HGB・血色素量などとあらわされ、単位は「g/dl」です。

健康診断などの血液検査の結果、貧血を指摘された経験がある方は多いかと思います。

血液検査の結果項目ではおもに、

などとあらわされ、単位は「g/dl」です。

これらがどのような意味をもつのか、それを理解するためにはまず、ヘモグロビンとは何なのかを理解する必要があります。

貧血を疑われる際の基準値について知る前に、まずはヘモグロビンの役割について見ていきましょう。

ヘモグロビンとは?

赤血球の中に存在するのがヘモグロビンで、「酸素」を全身に運ぶという大切な役割があります。

ヘモグロビンには、私たちの体の中をめぐって酸素を全身に運ぶという大切な役割があります。

私たちのカラダの中を流れるまっ赤な血液は、液体の「血漿(けっしょう)」といわれるものと、形のある「血球(けっきゅう)」といわれる2つのものからできています。

その血球の大半を占めるのが赤血球で、その中に存在するのがヘモグロビンです。

血が赤いのはヘモグロビンが酸素と結びつくから

私たちの血液が赤いのは、ヘモグロビンの「鉄」が酸素と結びついて赤くなったからです。

人間の血は赤いということは誰でも知っていること。

とくに「なぜ赤いの?」という疑問すらおきにくいくらいでが、それはヘモグロビンが酸素と結びつくからです。

ヘモグロビンは、おもに鉄とタンパク質からできていて、この鉄が酸素と結びつくことで酸素を運びます。

鉄が酸素と結びつけば酸化され、その鉄は赤くさびます。

つまり、私たちの血液が赤いのは、ヘモグロビンの「鉄」が酸素と結びついて赤くなったからです。

貧血とはヘモグロビンが少ない状態

貧血と診断されたら、さらに多くの項目から原因を特定していき、貧血の種類を分類していきます。

貧血と診断される1番の指標は「ヘモグロビン値」ですが、そのほかにも「赤血球の数」や「赤血球の割合」も調べます。

これらが基準値を下回り、貧血と診断されたら、さらに多くの項目から、なぜ血液が薄くなっているのかを特定していきます。

つまり、貧血の種類を分類していくわけです。

原因ごとに分かれる貧血

ヘモグロビンが少なくなる原因はさまざまで、原因ごとにそれぞれ病名がさだめられています。

貧血とは、ヘモグロビンが基準よりも少ない状態のことを言いますので病名ではありません。

ヘモグロビンが少なくなる原因はさまざまで、原因ごとにそれぞれ病名がさだめられています。

鉄分不足で起こる鉄欠乏性貧血

ヘモグロビンの数値が低くなってしまう原因で1番多いのが、鉄分不足が原因の鉄欠乏性貧血です。

ヘモグロビンの材料である鉄は、栄養素の中でも吸収しにくいものの代表として知られています。

そのうえ女性の場合は、生理や妊娠、授乳などによって、カラダの中にある鉄を失うケースが多いため、食事による鉄分の補給が追い付かずに貧血になってしましまいます。

1番多い原因ですが、不足している鉄分を、食事、サプリ、鉄剤などでしっかり補うことで、確実に良くなると言われています。

▼自然な食べ物で鉄分を補う方法

ビタミンB12・葉酸不足で起こる巨赤芽球性貧血

血が作られるときには、ビタミンB12と葉酸の助けが必要です。

ビタミンB12と葉酸が不足すると、赤血球がつくられる前の段階でこわれてしまいます。

ビタミンB12や葉酸は、食事によって不足する事は考えにくく、他の何らかの病気や症状が原因です。

例えば、胃や腸の摘出手術を受けた場合は、ビタミンの吸収が悪くなる事や、アルコール依存症によって小腸での葉酸の吸収が悪くなってしまう場合などです。

さらに、多くの葉酸を必要とする妊娠時には不足しやすくなります。

不足したビタミンB12や葉酸を、薬や食事によってとることが大切です。

▼巨赤芽球性貧血について

多くは原因不明。再生不良性貧血

この病気は、血を作る細胞に問題があり、正常に血液が作られない病気です。

赤血球(ヘモグロビン)だけでなく、血液のさまざまな成分が不足してしまいます。

そのため、一般的な症状に加えて、細菌やウイルスなどから体を守る力が弱くなり、病気にかかりやすくなったり、血が固まりにくくなり、出血しやすくなってしまいます。

ほとんどの場合で原因が分かっておらず、厚生労働省から難病指定されている病気です。

▼再生不良性貧血について

赤血球が早くこわされている溶血性貧血

通常は120日ほどでこわされる赤血球が、10分の1くらいに短くなることで起こる貧血です。

こわされた赤血球を処理するときに黄色い色素がでます。

そのため、一般的な症状に加えて、皮膚が黄色くなったり、オシッコの色が濃くなったり、赤っぽくなったりします。

これが続くと、石ができる原因にもなります。

症状が軽ければ自然に治る場合もありますが、治療が必要なときは、おもに薬による治療が行われます。

▼溶血性貧血について

▼その他の貧血

貧血の症状

ヘモグロビンが少なくなると、全身に酸素が十分に行きわたらなくなるので、酸素が不足し動悸や息切れなど、さまざまな症状があらわれます。

また、貧血の中で1番多い鉄欠乏性貧血は、その名の通り鉄分が不足している状態のことです。

鉄分は体の粘膜の組織を正常に保ってくれたり、脳への信号を送る物質をつくるときにも必要です。

なので、不足するとその物質が足りなくなり、脳細胞が信号のやりとりをうまくできなくなってしまいます。

その結果、酸素不足からくる症状に加えて、やる気が起こらない、集中できない、ささいな事が気になる、イライラしやすい、などといった鉄分不足の症状も起きやすくなるのです。

▼鉄分不足は精神(こころ)の病を招くかもしれません。

鉄欠乏性貧血の症状とは、酸素と鉄分が足りなくなることによって起こるさまざまな症状の事です。

鉄欠乏性貧血の症状の一覧

代表的な鉄欠乏性貧血の症状。当てはまるものがないかチェックしてみてください。

鉄欠乏性貧血の代表的な症状をご紹介します。

どれか当てはまるものがあれば貧血を疑ったほうご良いかもしれません。

ヘモグロビンが多いことも問題

ヘモグロビンの数が多すぎる場合も問題です。

ヘモグロビンが多いと「酸素を運ぶチカラが強そうで良いのでは?」と思ってしまいがちですが、多くなりすぎると血液の流れが悪くなります。

ヘモグロビンは液体ではなく、ドーナツのような形をした固形のものなので、多すぎると、いわゆる「血液がドロドロ」の状態となります。

この状態が長引くと、動脈硬化まどの血管の病気の原因になってしまいます。

また、血の流れが悪くなることで、ほてりやのぼせなどの症状もあります。

ヘモグロビンの数値が高くなる原因

ヘモグロビンの数値が高くなる原因は主に次の4つです。

  1. 多血症という赤血球が増える病気
  2. 脱水症状によるもの
  3. タバコを吸う
  4. ストレス

2.3.4は一時的なものである場合が多いですが、この中で1番注意が必要なのが多血症です。

1つの病気をさす言葉ではなく、赤血球が異常に増える病気の総称の事を言い、原因ごとに種類が分かれます。

医師の指導のもと、きちんとした対処が必要です。

ヘモグロビンの基準値

ヘモグロビンの基準値をご紹介。

世界保健機関(WHO)がさだめた、貧血と診断されるヘモグロビンの基準値をご紹介します。

ヘモグロビンの数値は、1デシリットル中に何グラム含まれるかという濃度を表す値で、単位はg/dlです。

男女の6カ月から14.99歳までの基準値
6カ月~4.99歳 11.0未満
5歳~11.99歳 11.5未満
12歳~14.99歳 12.0未満
女性の15歳以上の基準値
妊娠していない 12.0未満
妊娠している 11.0未満
男性の15歳以上の基準値
13.0未満

参考:東京都予防医学協会年報/2013年版/第42号より

妊娠をしていない、35歳の女性の場合、ヘモグロビン12未満が、貧血と診断される大きな目安です。

基準値を割っていなかったとしても、どれくらい注意が必要かどうかも、ヘモグロビンの数値から判断できます。

貧血の度合いと対処法

ヘモグロビンの数値が低いほど、貧血の度合いは大きくなります。

ヘモグロビンの数値ごとに、貧血の度合いとその対処法をご紹介します。

貧血の重さはヘモグロビンだけでがなく、さまざまな項目から判断されますが、ヘモグロビンがもっとも大きな指標であることには違いありません。

ヘモグロビン11.10

一般的に11・10の数値は軽度です。

普通の人や疲れている時にも起こる、頭が重い、眠たい、頭が痛くなりやすい、体力が落ちるなどといった症状のため「何が原因なのか?」と気が付きにくく、貧血と自覚していない人も多いようです。

ここで気をつけたいのは、今の状況より、これから中度、重度となってしまう可能性のある状態であるということ。この時では、食生活を見直すことで改善できますから、ひどくなる前に対処したいものです。

ヘモグロビン9.8.7

ヘモグロビン9.8.7は中度の状態と言われます。

中度はもう立派な貧血状態です。女性の場合は生理によってこれくらいの数値に下がることもありますが、常にこの値であれば、病院などでの治療が必要になってきます。

食生活の改善やサプリだけで治すことはなかなか難しいレベルです。日常の生活に支障をきたすくらいの症状にくわえて、鉄分が不足していることで、粘膜の組織を正常に保つことが難しい状態のため、口内炎ができやすかったり、食べ物が飲みこみにくくなったり、舌がツルツルの状態になり、酸っぱいものがしみたりしやすくなります。

また、重度になる予備群でもありますので、そうならないよう対処しましょう。

ヘモグロビン6

ヘモグロビンが6.5以下になると休養が必要な重度の貧血です。

輸血や鉄剤の点滴など、病院での治療は必須です。もう食事療法やサプリといったレベルではありません。

5以下になると安静が必要な、とても重たいレベルです。

手術や出産による出血などで、これくらいの数値に落ちることがあります。

もちろん原因によって対処の方法は変わってきますが、病院の先生の指示のもと確実な治療が必要です。

▼効率的な鉄分補給の方法

ヘモグロビンの数値~まとめ~

ヘモグロビンとは、鉄とタンパク質からできていて、全身に酸素を運ぶ役割をもっています。その際に、酸素とむすびついた鉄が赤くなるため、血液は真っ赤な色をしています。

このヘモグロビンが基準値よりも少なくなることが「貧血」という状態で、その症状はおもに、必要な酸素や鉄分が不足することで起こります。

その代表的な原因は以下の4つです。

この中で、原因の60パーセント~80%を占めるのが、鉄分が不足することで起こる、鉄欠乏性貧血です。

逆にヘモグロビンが増えすぎている状態も良くありません。その状態を「多血症」といい、さまざまな病気が疑われます。医師による、正確な診断と治療が必要です。

貧血と診断されるヘモグロビンの数値は、

となっています。その数字によって度合いが変わります。

軽度であれば、食生活を改善することで治るケースが多いですが、中度、重度の場合は、病院での治療が必要です。

原因は鉄分が不足している事でおこる場合がダントツに多く、その場合は鉄分をおぎなうことで必ず治る病気だと言われています。

▼貧血にいい食べ物

処方される鉄剤などのお薬も当然必要ですが、日々の食生活を見直す事を強くおすすめします。

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