不定愁訴(ふていしゅうそ)という言葉をご存知ですか?
「なんだか分からないけど、体調が良くない気がする…」「イライラする…」「疲れがとれない…」
これらの症状は不定愁訴と呼ばれるもので、男性よりも女性に多く、貧血(体内の鉄分不足)とは切っても切れない関係にあります。
「精神的な問題だから、具体的な解決策などない!」と諦めていた人も、もしかすると鉄分が大きく関係しているのかもしれません。
不定愁訴の具体的な症状
不定愁訴とは、次のような症状があるのにも関わらず、検査をしても原因となる病気が見つからない状態のことを言います。
- だるい、疲れが取れない
- イライラする
- 頭痛
- 肩こり、腰痛
- 憂鬱
- 無気力
- 立ちくらみ
- めまい
- 耳鳴り
これらの症状が、不定愁訴という言葉の指す通り、「定まらない秋の心」のように変化するのが特徴です。
不定愁訴は自分にしか分からない
総合医療メディア会社であるQLifeが、20代・30代の女性に対して行った調査によると、不定愁訴という言葉の認知率は33.8%、意味も含めて知っていると答えた人は、14.5%にすぎないという結果でした。
さらに、不定愁訴は、見た目や検査データなどでは分からない症状が多いく、自分以外に分かりにくいという特徴があります。
- 認知度が低い
- 症状が自分以外に分かりにくい
これら2つの理由から、まわりから、「気持ちが弱いからだ!」「サボっているだけだ!」と見なされ、理解されずに苦しむ人が多いようです。
不定愁訴の原因
不定愁訴にはさまざまな原因があり、一般的には、環境の変化や疲労、ストレスなどが考えられています。
しかし、貧血(体内の鉄分不足)が不定愁訴の原因となることもぜひ知っておいてください。疲れがとれない、イライラするなどといった悩みが、鉄分を補給することで改善するかもしれません。
貧血(鉄分不足)の症状
日本でもっとも多い貧血は、体内の鉄分が不足することで起こる「鉄欠乏性貧血」です。
血液中の鉄分は赤血球に含まれるヘモグロビンをつくるのに必要不可欠です。ヘモグロビンは、酸素を全身に運ぶという大切な役割があります。
つまり、鉄分が不足し血液中のヘモグロビンが少なくなると、酸素の運搬能力が下がり、その結果、全身が酸欠状態となり、さまざまな問題を引き起こします。
鉄分不足が招くもの
めまい、立ちくらみ
鉄分不足によって脳の細胞が酸欠状態になると、めまいや立ちくらみが起こります。
脳の重さは体重の2%に過ぎませんが、酸素の消費量は全身の4分の1と、人体の中でもっとも多くの酸素を消費します。
しかも、脳には筋肉がないため、酸素を蓄えることができないので、運ばれてきた酸素をすぐ使い果てしてしまうので、かんたんに酸素不足となります。
肩こり
肩こりの三大原因は、
- 姿勢の悪さ
- 悪い姿勢をつくる生活環境
- ストレス
といわれていますが、貧血が関係していることも少なくありません。肩の筋肉を構成している細胞に、十分な酸素が運ばれなくなり、酸欠状態になるからです。
イライラ、倦怠感、無気力
鉄分は、心身のバランスを整えてくれている、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質の合成にも大きく関係しています。
そのため、鉄分が不足することで、精神面や感情、学習能力や運動機能、睡眠などに悪い影響を与えてしまします。
▼鉄分と精神(こころ)の関係についての記事
その他
鉄分は、私たちの行動の源であるエネルギー物質(ATP)の産生にも必要不可欠です。
ATPが十分あることで、心臓も動き、呼吸し、体を動かすことができてますが、 不足すると、多くの慢性疾患を引き起すと言われています。
▼ATPとは? 鉄分との関係についての記事
貧血と不定愁訴の関係
私たちの体には、貯蔵鉄という鉄のストックがあります。鉄分が不足するとまずは貯蔵鉄を切り崩していきます。その状態が続き、貯蔵鉄がなくなって初めてヘモグロビンの値が低くなります。
一般的な血液検査において、ヘモグロビンの数値は測りますが、鉄分不足かどうかまでは調べません。
そのため、不定愁訴の症状があっても、その原因が鉄分不足であるとは自覚しにくいのです。
フェリチンで分かる隠れ貧血
ヘモグロビン値は基準値内であっても、鉄分不足が続いている状態(貯蔵鉄を切り崩している状態)を隠れ貧血といいます、別の呼び方では、「潜在性鉄欠乏性」や「貧血予備群」といいます。
体内の貯蔵鉄は、血液中のフェリチンというたんぱく質の数値を調べることで分かります。
▼フェリチンを調べる費用や、自宅で調べる方法などは以下の記事をご参照ください。
さいごに
貧血(鉄分不足)は不定愁訴の原因ともなります。日本人女性のほとんどは鉄分不足といわれていて、同じように、女性のほとんどは何らかの不定愁訴の症状があるとされています。
原因がはっきりしないので、具体的な解決策が見出せなかった人も、もしかすると鉄分を補給することで、劇的な変化があらわれるのかもしれません。
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